2026年8月28日(金)に全国公開される待望の韓国映画『顔 -かお-』について、じっくりとお伝えしたいと思います。『新感染 ファイナル・エクスプレス』で一躍世界的な注目を集めたヨン・サンホ監督の最新作です。
本作は、ただのエンターテイメントを超えた、深い人間ドラマと社会への問いを内包した作品です。監督自身が「本当に作りたかった」企画として、長年温めていたものを映画化した念願のプロジェクト。公開前から話題沸騰中で、すでに多くの映画ファンが心待ちにしていることでしょう。それでは、どんな作品なのか、詳しく見ていきましょう。
ヨン・サンホ監督の原点回帰――『新感染』以前から構想された物語
ヨン・サンホ監督は、アニメーション作家としてキャリアをスタートさせ、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)で世界中にゾンビブームを巻き起こしました。その後も『地獄が呼んでいる』や『寄生獣 -ザ・グレイ-』などのNetflix作品で知られるヒットメーカーです。しかし、本作『顔 -かお-』は、そうした大規模な作品とは一線を画す、低予算で作り上げられた親密な人間ドラマです。
監督は2018年に発表した自身初のグラフィックノベルを原作に、自ら脚本・監督を務めました。『新感染』以前から構想していたというこの物語は、監督の原点に立ち返った「本当に作りたかった」作品と言われています。上映時間は103分とコンパクトながら、密度の濃い内容で、観終わった後に誰かと語り合いたくなるような余韻を残します。
2025年の第50回トロント国際映画祭「スペシャル・プレゼンテーション」部門でワールドプレミア上映され、大反響を呼びました。韓国では青龍賞で作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞など10部門にノミネートされ、パク・ジョンミンが第62回百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
ストーリーの概要――「顔も知らない母親」の秘密とは
物語の中心となるのは、盲目の篆刻家として名声を築いた父親イム・ヨンギュ(クォン・ヘヒョ)と、その息子ドンファン(パク・ジョンミン)です。ヨンギュは生まれつきの視覚障害を乗り越え、韓国屈指の篆刻家として活躍する人物。息子のドンファンは、そんな偉大な父親を陰ながら支えながら暮らしています。
ある日、ドンファンは警察から衝撃の知らせを受け取ります。40年前に行方不明になっていた母親チョン・ヨンヒ(シン・ヒョンビン)の白骨化した遺体が、地中深くから発見されたというのです。母親は「家出した」と聞かされていたドンファンにとって、これは予想外の出来事でした。しかも、遺体からは殺害された可能性が浮上します。
ドンファンは母親の死の真相を追い始めます。そこで次々と耳にするのが、「ヨンヒは化け物のように醜い顔をしていた」という異様な証言です。顔さえ知らない母親の過去、そして家族に隠された秘密が、次第に明らかになっていきます。タイトルにある「顔(かお)」が、単なる外見ではなく、人間性や社会の価値観、偏見を象徴する重要なモチーフとなっています。
本作はサスペンスミステリーの枠組みを持ちながら、1970年代の韓国社会の空気や、家族の絆、容姿に対する世間の目、障害を持つ人の生き方など、さまざまなテーマを織り交ぜています。監督らしい社会派の視点が、静かな緊張感の中でじわじわと迫ってくるのが特徴です。
キャストの魅力――パク・ジョンミンの一人二役が圧巻
本作の見どころの一つが、豪華キャストの演技です。特にパク・ジョンミンは、主人公ドンファンと、回想シーンでの若き日のヨンギュを一人二役で演じています。これは彼自身が監督に提案した挑戦で、初の一人二役となります。1970年代の若々しい姿と現代の息子役を、繊細に演じ分け、百想芸術大賞最優秀演技賞を受賞したのも納得の演技力です。
父親ヨンギュ役のクォン・ヘヒョは、ヨン・サンホ監督作品に複数回出演した実力派。盲目の篆刻家として、視覚に頼らない「触れる」美の追求を体現します。母親ヨンヒ役のシン・ヒョンビンは、顔が覆い隠された謎めいた存在として登場し、観客の想像力を刺激します。他にもイム・ソンジェ、ハン・ジヒョンといった豪華な顔ぶれが脇を固めています。
低予算ながら、俳優たちの熱演と監督の演出により、非常に完成度の高い作品に仕上がっています。パク・ジョンミンがギャラなしで参加したというエピソードからも、キャスト・スタッフの作品への情熱が伝わってきます。
作品のテーマと見どころ――「醜いのは誰なのか?」
本作が投げかける最大の問いかけは、「醜いのは誰なのか?」というものです。外見の美醜、障害、社会的偏見、家族の虚飾――さまざまな「顔」が交錯する中で、人間の本質が浮き彫りになります。サスペンスの緊張感と、ドラマチックな人間描写が絶妙に融合した点が魅力です。
視覚効果や派手なアクションに頼らず、対話と心理描写、回想シーンを巧みに用いて物語を展開させる監督の手法は、グラフィックノベル原作ならではの味わいがあります。観客はドンファンと一緒に真実を追い、予想外の展開に驚かされることでしょう。
また、ヨン・サンホ監督のファンにとっては、『新感染』のような大衆娯楽とは異なる、アーティスティックな側面を楽しめる作品です。一方で、初めて監督作品を見る方にも入りやすい、普遍的なテーマを持っています。
公開情報とおすすめポイント
- 公開日:2026年8月28日(金)
- 上映時間:103分
- 配給:ツイン
- 公式サイト:kao-movie.com
夏の映画シーズンにふさわしい、観終わった後に考えさせられる一作です。家族で、友人同士で、または一人でじっくりと鑑賞するのに最適。公開を記念して『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4K上映も行われるそうですので、合わせてチェックしてみてください。
また、7月29日にはヨン・サンホ監督とパク・ジョンミンの来日舞台挨拶も予定されており、ますます注目が集まっています。
まとめ――心に残る「顔」を、ぜひ劇場で
『顔 -かお-』は、単なるミステリーではなく、人間とは何か、社会とは何かを問いかける力強い作品です。ヨン・サンホ監督の多面的な才能を改めて感じさせる、2026年の必見韓国映画と言えるでしょう。
皆さんは「顔」を覗く勇気がありますか? 劇場でその答えを探してみてください。きっと、忘れられない映画体験になるはずです。






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