こんにちは、9月の爽やかな秋風が吹き始める頃、映画館のスクリーンに江戸の空気が蘇る一本が控えています。それが、10月17日(金)全国公開の時代劇『おーい、応為』。主演は長澤まさみさん。葛飾北斎の娘であり、数少ない女性浮世絵師として男社会を駆け抜けた実在の人物・葛飾応為の人生を、鮮やかに描き出す作品です。 私のような歴史もの好きにはたまらない予感満載ですが、現代の私たちにも響く「自分らしく生きる」テーマが光る一本。今日は、この映画の内容と見どころを深掘りしてみます。ネタバレを避けつつ、ワクワクを共有しましょう!
内容:父と娘の絆が紡ぐ、波乱万丈の絵師人生
物語の舞台は江戸時代中期。浮世絵の巨匠・葛飾北斎の娘、お栄(本名:葛飾応為)。彼女は父の才能に恵まれながらも、女性として絵師の道を歩むのは決して容易ではなかった。原作は飯島虚心の『葛飾北斎伝』(岩波文庫)と杉浦日向子の『百日紅』(筑摩書房)。監督・脚本を務めるのは、『日日是好日』や『星の子』で知られる大森立嗣。長澤さんとは『MOTHER マザー』以来のタッグで、繊細な人間ドラマを得意とする彼の手にかかると、歴史的事実は息づいた物語に昇華されます。
あらすじを簡単に。主人公のお栄は、若くして絵師の家に嫁ぐものの、夫の「かっこばかりの絵」を辛辣に批判してしまい、即座に離縁。傷心のまま、父・北斎のもとへ出戻ります。そこは描きかけの絵が散乱したボロボロの長屋。絵のことしか頭にない北斎(永瀬正敏)と、茶の湯も針仕事も苦手な娘の奇妙な共同生活が始まるのです。北斎は娘を「おーい!」と呼びつけ、飯や筆を運ばせますが、お栄の内に秘めた才能は徐々に花開いていきます。父の背中を見つめ、筆を握るうちに、彼女は「美人画では父を凌ぐ」と評されるほどの腕前を身につけ、北斎から「葛飾応為」という画号を授かります。この名は、父の「おーい!」という呼び声から生まれたもの。ユーモアと愛情が交錯する瞬間です。
応為の人生は、決して平坦ではありません。嫁ぎ先の失敗から立ち直り、絵師として自立する過程で、兄弟子の初五郎への淡い恋心や、愛犬・さくらとの穏やかな日常が彩りを添えます。また、北斎の弟子で美人画の名手・善次郎(渓斎英泉、髙橋海人)との友情は、応為の心の支えに。男だらけの浮世絵界で、煙草をふかしながら世間に媚びず、豪胆に生き抜く応為の姿は、まるで現代のフェミニズムを先取りしたよう。吉原の遊郭を舞台にした傑作《吉原格子先之図》のように、光と影のコントラストが彼女の人生を象徴します。嫁ぎ先を飛び出してから20余年、北斎亡き後も絵筆を離さず生きた応為の軌跡は、静かな感動を呼び起こします。

この映画の魅力は、史実を基にしつつ、大森監督の筆が加える「人間味」。北斎は「猫一匹まともに描けない」と嘆くほどの完璧主義者ですが、娘への愛は不器用に滲み出ます。応為も短気でガサツ、世俗のしきたりを無視する自由人。父娘の師弟関係は、時にぶつかり合い、時に笑いを誘う。江戸の四季が移ろい、浮世絵の鮮やかな色がスクリーンを染める中、応為の「描きぬく」人生が、観る者の胸を熱くするのです。122分のヒューマンドラマとして、アクション満載の時代劇ではなく、内面的な成長を丁寧に追うスタイル。秋の夜長にぴったりな、ゆったりとしたテンポで心に染み入ります。
見どころ1:長澤まさみの「時代劇初主演」――応為の豪胆さを体現した演技
何と言っても、主演・長澤まさみさんの存在感! 彼女が応為を演じることで、この映画は一気に輝きます。長澤さんはインタビューで「応為は子供のような大胆さがあり、人の目を気にせず自由に生きる。現代の女性の匂いを纏っていて、カッコいい」と語っています。 確かに、予告編を見ただけでその迫力。煙草をくゆらせ、筆を握る姿は、気丈で愛嬌たっぷり。長澤さんのこれまでの役柄――『コンフィデンスマン』シリーズの詐欺師や、『モテキ』の等身大女性――とは一線を画す、江戸の女傑像。時代劇初挑戦とは思えない所作の自然さは、事前の本読みや稽古の賜物でしょう。監督の大森立嗣も「長澤さんの心に灯った火を見つめる眼差しに、映画作りへの愛を感じる」と絶賛。 彼女の表情一つで、応為の喜怒哀楽がスクリーンから飛び出してきそう。女性絵師の苦悩と解放を、繊細に、力強く演じきる姿は、きっと多くの女性視聴者を勇気づけます。特に、父との対峙シーンでは、涙腺を刺激するはず。長澤さんのキャリアに新たな一ページを刻む、必見の演技です。
見どころ2:永瀬正敏の「新たな北斎像」――天才の不器用さと父性愛の融合
対する父・北斎役の永瀬正敏さんも、圧巻。世界を股にかける名優が、晩年「まだまだ描けない」と嘆く絵師の狂気を、愛嬌を交えて体現します。 特報映像では、筆を走らせる姿が印象的。従来の北斎像は孤高の天才ですが、ここでは「娘を持つ父親」としての柔らかな面が加わり、新鮮。永瀬さんのコメント「大胆に自由に生きられた北斎の“心”というべき存在・お栄。長澤まさみさんは僕にとって同様の存在でした」からも、共演者の信頼が伝わります。 父娘の掛け合い――「おーい、飯!」と呼ぶ北斎に、応為が返すユーモア――は、笑いと温かさを生み出します。この関係性が、物語の核。永瀬さんの深みある演技が、応為の成長を優しく後押しするのです。歴史ファンなら、史実の北斎(90歳近くまで活躍!)を思い浮かべながら、感慨深く観られるでしょう。
見どころ3:豪華キャストと江戸の日常――友情と恋が彩る人間模様
脇を固めるキャストも豪華絢爛。髙橋海人さん演じる善次郎(渓斎英泉)は、酒と女を愛する浮世離れした絵師で、応為のよき理解者。King & Princeのメンバーとして知られる彼の時代劇デビューは、軽やかな魅力で物語を明るくします。「長澤さんが引っ張り、永瀬さんが居心地のいい空間を作ってくれた」とのコメントからも、現場の和気あいあいさが伝わります。 また、大谷亮平さん、篠井英介さん、奥野瑛太さん、寺島しのぶさんらベテラン勢が、江戸の絵師界を立体的に描き出します。応為の淡い恋心を抱く兄弟子・初五郎や、愛犬さくらのエピソードは、史実の厳しさを和らげ、日常の温もりを加味。こうした人間模様が、単なる伝記映画ではなく、息の抜けたラブストーリーや友情譚に昇華させるのです。
見どころ4:大森監督の視線と浮世絵の美学――現代に響く「自由」のメッセージ
監督の大森立嗣の視点が、光るポイント。『日日是好日』で見せたような、日常の機微を捉える手腕が、ここでも発揮されます。浮世絵の制作過程を丁寧に描き、応為の筆致がスクリーンに投影されるシーンは視覚的に圧巻。吉原の光と闇を表現した《吉原格子先之図》の再現は、きっと息をのむはず。 男社会で生きる女性の葛藤は、現代のジェンダー論に通じ、「自分らしく描きぬく」メッセージが強い。予告編のBGMや色彩も、秋の紅葉を思わせる暖かさ。TOHOシネマズ日比谷ほかでロードショーなので、IMAXで観れば没入感倍増です。
まとめ:秋にこそ、心に一枚の絵を
『おーい、応為』は、ただの時代劇じゃない。父娘の絆、女性の自立、芸術の情熱が織りなす、普遍的な物語です。長澤まさみさんの輝きに導かれ、江戸の風を感じてみませんか? 公開まであと少し。チケットを早めに押さえて、秋の映画デートに最適な一本をおすすめします。
▼『おーい、応為』公式サイト

葛飾応為が登場する映画作品は?
『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』(2015年公開、アニメ映画)
概要: 原恵一監督によるアニメ映画で、杉浦日向子の漫画『百日紅』を原作としています。葛飾北斎とその娘・お栄(葛飾応為)の江戸時代を舞台に、絵師としての生活や人間模様を描いた作品。
応為の役割: 応為(声:杏)は主要キャラクターの一人で、父・北斎(声:松重豊)のアシスタントとして活躍しながら、自身も絵師として成長する姿が描かれます。彼女の自由奔放な性格や、女性としての葛藤、芸術への情熱が丁寧に表現されています。北斎と応為の関係性や、江戸の風俗が色濃く反映された作品です。
見どころ: 応為の絵師としての才能や、盲目の妹との交流、北斎との独特な親子関係が感動的。浮世絵の美しさとアニメーションの融合も見逃せません。





コメント