本多猪四郎&円谷英二コンビが作ったもうひとつの反核映画『美女と液体人間』

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「変身人間シリーズ」は東宝円谷映画のもうひとつの看板作品

東宝円谷映画というと、「ゴジラシリーズ」に代表される怪獣映画が思い浮かびますが、

それだけではなく、「変身人間シリーズ」と呼ばれる怪異人間を主役とした一連の作品群があります。

第一作目が『美女と液体人間』、二作目が『電送人間』、三作目が『ガス人間第一号』の三部作。

第一作目『美女と液体人間』が公開されたのが1958年6月24日で、僕が生まれた年。今から60年近く前の作品です。

だから僕は本作を劇場では鑑賞しておらず、テレビ放送で鑑賞しています。

還暦直前になって、なぜか急にこの「変身人間シリーズ」が観たくなりました。

嬉しいことにこの三部作は東宝から「東宝DVD名作セレクション」として再販されています。

と言って購入したわけではなく、TSUTAYAでレンタルなんですが。

今はずっと古い作品でもレンタルして鑑賞できるから便利になったものですね。

それも旧作は100円(店により79円)で借りられるのすから。

監督は本多猪四郎。特撮監督を円谷英二

このコンビでゴジラシリーズやラドン、モスラ、大怪獣ラドンなどの東宝の怪獣映画のほとんどを監督しています。

ほとんどの作品はまだ僕が子供の頃、テレビで放送されているので、ほとんど鑑賞済。

当時は今のようにバラエティ番組はほとんどなく、テレビの娯楽放送といえば、映画作品でした。

ストーリーは?

それでは、本作についてのレビューへ入ります。

舞台は1950年代。南太平洋での水爆実験のシーンで始まります。

最初のこのシーンで本作が水爆に関係がある作品であるということがわかります。

舞台は代わって東京都心。

雨の晩、麻薬密売人の男が自動車に轢かれるが、身に着けていた衣類を残して姿が消えてしまう。

警察は男の情婦・新井千加子(白川由美)を問い詰めるが、男の所在は不明。男が消えた背景には南太平洋で起きた水爆実験事故があると推測した大学教授の政田(佐原健二)も千加子に接触していた。警察が男の所在を追う間に、関連した人物たちが次々と衣類を残したまま消えていく。

政田は事件の背後には水爆実験の影響で出現した液体人間の存在があることを警察幹部・富永(平田明彦)に進言する。最初は取り合わなかった富永だったが、麻薬組織を追っていたキャバレーで、部下の刑事が液体人間に襲われたことで、政田の言うことが真実であったことを知る。そして都市の下水を舞台にした液体人間殲滅作戦が始まる。

「ゴジラ」と同じく、反核兵器がテーマ

本作のテーマの背景には、1954年公開『ゴジラ』と同じ、水爆実験に対するアンチテーゼがあります。

冒頭の水爆実験シーンや操業中の漁船が放射能を浴びる設定は当時発生した「第五福竜丸事件」を題材にしています。

水爆実験の影響で怪獣ゴジラが生まれたように、本作では水爆実験の影響で液体人間が生まれたという設定です。

ゴジラはその巨大な身体と口から吐く放射能光線で東京を炎に包み、水爆=巨大な怪獣として表現されましたが、本作はその恐怖を等身大の人間を使って、さらにホラー要素で表現した点に特徴があります。

液体人間が出現するのはほとんど夜か下水のような暗い場所。

ドロドロの液体がそっと窓から侵入してくる恐怖。そして、液体人間に襲われた人物が衣類を残したままドロドロと溶けていく様子。

CGが発達した現在では稚雑に見えるかもしれない特撮映像なのですが、当時としてはとても工夫された特撮技術でクォリティも高く、気持ち悪さは十分に表現されています。

何よりも凄いのは、サスペンスとしての人間ドラマがしっかりしていることです。

ホラーというと、その奇抜さばかりが優先して、ドラマ性がないがしろにされて、B級以下作品になることが多いですが、本作はドラマがしっかりしていることで完成度が非常に高いのです。

お勧め度:(3.5/5)

同じ年にアメリカでも液体生物のSFホラー作品が公開されている

同じ1958年にアメリカでも同じような人間を喰うドロドロ生物を題材にした映画が公開されています。

名優・スティーブ・マックイーンが初主演した『スティーブ・マックィーンの人喰いアメーバの恐怖』という作品です。

日本で公開されたのは7年後の1965年。

原題は『The Blob』ですが、前年の1964年に『大脱走』でマックイーンが有名になり、それに追随して、この作品がマックイーンの初主演作ということで、『マックイーンの絶対の危機』のタイトルで公開されました。

この作品で登場する液体生物は『美女と液体人間』とは違い、宇宙から来た設定で、人間を喰いながら次第に大きく成長していくのが特徴となっています。

同じような怪物を題材にした作品でありながら、被爆国日本と実戦で原爆を使用したアメリカとの違いを見る作品事例ですね。

この作品は1988年に『ブロブ/宇宙からの不明物体』としてリメイクされています。

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