映画って、観終わった後に何かしらの感情を残してくれるものだと期待しますよね。ハッピーエンドでホッとしたり、感動で涙したり。でも、中にはその期待を完全に裏切り、「最悪」としか言いようのない結末で終わってしまう作品があります。今回は、そんな衝撃的で議論を呼ぶ映画のエンディングをピックアップして語ります。ネタバレ満載なので、未見の方はご注意を!
『ミスト』(2007)
まず挙げるのは、スティーヴン・キング原作、フランク・ダラボン監督の『ミスト』。霧に閉ざされた町で、超自然的な怪物に襲われる人々のサバイバルを描いたホラーです。結末があまりにも絶望的で有名ですよね。主人公デヴィッド(トーマス・ジェーン)は、息子や仲間たちと車で逃げるものの、ガソリンが尽きてしまう。怪物に囲まれた絶望の中、彼は銃で全員を「安楽死」させる決断をするんです。そして自分だけ残り、絶叫しながら霧の外へ出ると、そこには救助に来た軍が……。そう、あと数分耐えれば全員助かったかもしれない。この皮肉すぎる展開に、映画館で放心状態になった人も多いはず。原作では希望を残した終わりだったのに、映画版は徹底的に絶望を選んだ。ダラボンは「観客に偽の希望を与えたくなかった」と語ったそうですが、観終わった後の虚無感は忘れられません。
『セブン』(1995)
次はデヴィッド・フィンチャーの『セブン』。ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンが連続殺人犯を追うサイコスリラーですが、ラストが本当に心を抉ります。犯人のジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)は「七つの大罪」をモチーフに殺人を重ね、最後に「嫉妬」と「憤怒」を仕掛ける。ドゥはミルズ(ピット)の妻トレイシーを殺し、その首を箱に入れて届けるんです。ミルズがそれを知った瞬間、感情が爆発してドゥを撃ってしまう。つまり、ミルズ自身が「憤怒」の罪を犯し、ドゥの計画が完成する。この結末、正義が勝つどころか悪が勝利する形ですよね。フィンチャーの冷徹な演出とピットの魂の叫びが、観客の心に深い爪痕を残します。ハッピーエンドを期待した人には、まさに悪夢でした。
『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)
ダーレン・アロノフスキーの『レクイエム・フォー・ドリーム』も外せません。薬物依存に堕ちていく4人の人生を描いた作品で、最初から暗い雰囲気は漂っていますが、結末が本当に救いようがない。サラ(エレン・バースティン)はダイエット薬で精神が崩壊し、病院で電気ショック療法を受ける。息子のハリー(ジャレッド・レト)は恋人マリオン(ジェニファー・コネリー)とドラッグに溺れ、腕を壊疽で失う。マリオンは生活のために屈辱的な行為を強いられ、タイロン(マーロン・ウェイアンズ)は刑務所で苦しむ。誰も幸せにならず、夢も希望も全てが壊れるんです。アロノフスキーの過激な映像と音楽が、観客の心を締め付けます。芸術性は高いけど、二度と観たくないという声も多いですよね。
『オールド・ボーイ』(2003)
韓国のパク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』も最悪の結末の代表格。主人公オ・デス(チェ・ミンシク)が15年間監禁され、解放後に復讐を誓うんですが、その真相が残酷すぎる。実は彼が愛するようになった女性ミドは、自分の娘だったんです。敵のウジン(ユ・ジテ)が仕掛けた罠で、デスは知らずに近親相姦を犯してしまう。この事実を知ったデスは舌を切り、記憶を消そうとするけど、観客にはその絶望が突き刺さります。ラストでミドと抱き合うデスの表情が、幸せなのか苦痛なのか分からない曖昧さで終わるのも辛い。復讐劇がこんな結末を迎えるなんて、予想外すぎました。
『ナイトクローラー』(2014)
ジェイク・ジレンホール主演の『ナイトクローラー』も強烈です。ルーという野心家が報道カメラマンとして成功を目指す話ですが、彼の倫理観の欠如が恐ろしい結末を招きます。事故や犯罪現場を撮影して金を稼ぐうちに、ルーは自分で事件を「演出」し始める。最終的に、パートナーを死なせてその映像を売り、警察の追跡からも逃げ切るんです。悪人が罰せられず、むしろ成功するこの結末は、現代社会の闇を突きつけてきます。ジレンホールの不気味な笑顔が脳裏に焼き付き、モヤモヤが残りました。
『ヘレディタリー/継承』(2018)
アリ・アスター監督のホラー『ヘレディタリー/継承』も忘れられない。家族の死をきっかけに奇怪な出来事が続くんですが、結末が想像を絶する展開に。実は全て、祖母が仕組んだ悪魔崇拝の儀式だったんです。主人公アニー(トニ・コレット)の息子ピーター(アレックス・ウルフ)が悪魔ペイモンの器として選ばれ、家族全員が破滅。ラストではピーターが悪魔として「戴冠」し、カルト信者に崇められるシーンで終わる。この不気味さと絶望感、ホラー好きでも耐えられない人が続出したそうです。家族愛とか救済とか、一切ないのが辛いですよね。
『ゴーン・ガール』(2014)
デヴィッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』も追加で挙げたい。妻エイミー(ロザムンド・パイク)の失踪から始まるサスペンスですが、結末が最悪の意味で印象的。エイミーは夫ニック(ベン・アフレック)を陥れるために失踪を偽装し、最終的に殺人を犯して帰ってくる。そしてニックは、世間体と恐怖から彼女と「和解」して結婚生活を続けるんです。愛も信頼もない、歪んだ関係が永遠に続くこの終わり方、観ていてゾッとしました。フィンチャーの描く人間関係の冷たさが際立っています。
最悪の結末が残すもの
これらの映画に共通するのは、観客に心地よい解決を与えず、現実の残酷さや人間の弱さを突きつける点です。ハリウッド的なハッピーエンドとは真逆で、怒りや悲しみ、時には恐怖すら覚えます。でも、それが逆に深い印象を残し、何年経っても語り継がれる理由なのかもしれません。例えば『ミスト』や『セブン』は、結末がなければここまで話題にならなかった可能性もある。観客を挑発するような終わり方は、監督の意図や哲学が強く反映されている証拠ですよね。
個人的には、『レクイエム・フォー・ドリーム』の全滅エンドが一番キツかったかな。希望の欠片すらないのが辛すぎて。でも、『ナイトクローラー』の悪が勝つ展開も、現実を考えると怖い意味で納得してしまいます。みなさんはどの映画の結末が一番「最悪」だと思いますか?コメントでぜひ教えてください。次はもう少し明るい映画を観て、心をリセットしようかな……なんて思ってます。
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