ギレルモ・デル・トロが製作総指揮、義理の母親の愛を描いたホラー2作品『MAMA』『永遠のこどもたち』

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ギレルモ・デル・トロと言えば『ヘルボーイ』シリーズ、『パシフィック・リム』シリーズなどのSF作品、『バンズ・ラビリンズ』『シェイプ・オブ・ウォーター』などのファンタジーホラー作品の監督として有名ですが、自らは監督をせず、製作総指揮として手腕を振るった作品もあります。

その作品群の中で、母性、それも血の繋がらない子供への愛を描いた作品があります。

2007年公開の『永遠のこどもたち』、2013年公開の『MAMA』で、いずれもホラー作品です。

今回はこの2作品を紹介しましょう。

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『MAMA』/女幽霊の愛か義理母の愛か

2013年スペイン・カナダ共同制作作品。日本では2014年5月17日から一週間のみ限定公開されています。

監督はアンディ・ムスキエティ。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)、『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019年)の監督を務めています。

主演はジェシカ・チャステイン

本作はスペインとカナダの合作のホラーですが、主演はアメリカ女優のジェシカ・チャステイン。本作の前年に『ゼロ・ダーク・サーティ』の主演で数々の賞を受賞しています。そんな彼女が『ゼロ・ダーク・サーティ』の次に出演したのが本作ということになります。本作のあと、2014年に『インターステラー』、2015年には『オディセイ』とSF大作に出演しています。どちらかというと大作ではない、それもホラー作品である『MAMA』に出演しているとは意外です。

本作では金髪の髪を黒く染め短くしています(カツラかな?)ので、観始めたときはジェシカ・チャスティンとは思いませんでした。役の設定はパンクバンドの女性ボーカル。ミュージシャンなんですね。だからメイクにも少し特徴があります。

ストーリー

精神を病んでしまった投資仲介会社の経営者であるジェフリーはある日、共同経営者2人と妻を銃で殺害してします。幼い女の娘2人を連れ、山奥の木こり部屋に逃げ込み、子供共々心中を図ろうとするが、突然現れた奇怪な影に襲われ、姿を消す。残された幼い2人は奇怪な影とともに小屋で暮らす。
5年後、ジェフリーの弟ルーカスは行方不明となったジェフリーと子供2人をハンターに頼んで探し、やっと見つけ出す。しかし子供2人は人間性を失い、獣のように成長していた。
ルーカスとその恋人アナベル(ジェシカ・チャスティン)は子供2人の親権を受け、一緒に暮らし始めるが、夜な夜な子供たちの前に奇怪な影が現れる。
影の存在に気が付いたルーカスとアナベルは子供らを影から守ろうとするが・・・。

ストーリーはこんな感じ。

影は後半に近づくうちに、その姿を現わしていくのですが、出来損ないの人形なような奇怪な姿をしています。

影の正体はかつて子供を失った女性の霊が妖怪化したものだとわかります。これが結構、怖いです。

子供らは5年間、この幽霊女に育てられていて、子供らを追って来たのです。そして、子供らと接するうちに母性が湧いてきたアナベルとラストで子供の奪い合いをすることになります。

子供らにとってはアナベルも幽霊女も育ての親。どちらに身を預けるのか?驚愕のラストでした。ある意味ハッピーエンドなんですが、ちょっと複雑な心境になりましたね。

アニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』のラストで感じたものと同じ心境です。

▼Amazon PrimeVideoで観る


Mama (字幕版)

お勧め度:(3.5/5)

『永遠のこどもたち』/養子への愛・ホラーとサスペンスの融合

2007年スペイン・メキシコで制作され、日本では2008年12月に公開されたホラー。

監督はJ・A・バヨナ。最新作では2018年公開の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を監督を務めています。他には2004年のスマトラ島沖地震による津波に巻き込まれたスペイン人一家の実話を基にした作品『インポッシブル』(2012年)、怪物との奇妙な交流を描いたダークファンタジー作品『怪物はささやく』(2016年)。

ストーリー

夫と共にかつて自分が過ごした閉鎖された孤児院に移り住んだラウラ。ここで障害を持った子供たちのための施設を開園する準備中、養子シモンが行方不明となる。はたしてシモンは誘拐されたのか?それとも事故になったのか?ラウラはシモンが行方不明になる前に訪ねてきた謎の老婆の身辺を調べたところ、かつて孤児院で行った壮絶な出来事を知ることに。

謎の老婆、頭巾を被った子供の存在

行方不明になった養子の子供を探すヒロイン。謎の老婆が登場し、彼女の存在が謎を呼び、サスペンス仕立てで物語が進んでいきます。

途中、頭巾で顔を隠した子供も登場し、さらに謎を深めます。

謎の老婆の正体はかつてラウラが過ごした孤児院で働いていたベニグナという女性で、頭巾を被った子供は彼女の息子トマスだったのです。

ラウラはベニグマがシモンを誘拐したのだと思い、彼女を探します。しかし、街で乳母車を引く彼女を見つけ出した刹那、彼女は車に撥ねられ絶命してしまいます。乳母車の中にシモンの姿はありませんでした。

kusayan
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ベニグマが絶命する瞬間、ラウラの腕を掴むシーンにドッキリ!だって事故で顎が外れたベニグマの醜い顔は完全にホラーですから。

かつて孤児院で起こった凄惨な出来事

トマスは顔が醜く崩れていて、それを隠すために普段は頭巾を被って過ごしていました。そのため孤児院の5人の同窓生たちからいじめを受けていて、ある日、頭巾を取られ、海岸沿いの洞窟に閉じ込められた彼は満潮になっても洞窟から出られず、そのまま溺れて命を落としました。

ラウラはシモンを探す途中、敷地の外れの焼却場で多数の子供の骨を発見します。ベニグナがトマスの復讐をするために、5人の子供たちを毒殺し、証拠隠滅のために死体を焼却していたのです。

ベニグマがラウラの住む旧孤児院を訪ねて来たのは、焼却場にある骨を隠すためだったのです。

ついにシモンの居場所を見つけ出し、行方不明の原因を知り絶望する

屋敷内に殺害された5人の孤児たちの存在を感じていたラウラは、孤児たちにシモンの居場所を教えてもらおうと、”だるまさんが転んだ”をやり始めます。

スペインにも”だるまさんが転んだ”があるんだ。驚いた!

“だるまさんが転んだ”が始まり、扉の向こうから隠れていた孤児たちがひとりまたひとりと出て来るシーンは不気味です。

ゲーム終盤、孤児たちを追いかけたラウラは屋敷内の物置の中に隠し扉があるのに気付きました。そして、扉の奥にある階段を下りて行きました。

そこにはかつてトマスが過ごしていた隠し部屋があり、ラウラは奥で眠るシモンを見つけ出します。

安堵しながらシモンを抱きかかえるラウラ。目を覚ましたシモン。しかし、それは幻でした。

床に倒れた頭巾を被った子供。そっと頭巾を外したラウラは変わり果てたシモンの姿に絶叫するのです。

kusayan
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このシーンの演出が実にいい。観る者を一度安堵させ、そのあとじっくりと絶望の淵に誘う。

過去のシーンがあいにフラッシュバックされ、シモンが地下室に閉じ込められた原因が明らかになります。ラウラが姿を消したシモンを探す最中、物置の中で崩れた鉄杭を整頓する際に地下室に繋がる扉を塞いでしまっていたのです。外に出られなくなったシモンは長い月日が過ぎるうちに餓死。

シモンが行方不明になった原因は老婆、霊による誘拐ではなく、ラウラの不注意による事故だったのです。

絶望したラウラは睡眠薬を大量に飲み自殺。彼女の周囲には命を落としたシモンや5人の孤児たちが集まってきます。

ラウラは幼少期に一緒だった子供たちと永遠に過ごすことになったのです。哀し気なハッピーエンドですね。

本作はギレルモ・デル・トロの世界観を踏襲したサスペンス仕立てのホラーの傑作です。

お勧め度:(3.5/5)

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