パンデミックとはHazard lab(ハザードラボ)によれば、「 感染症などが広い地域(世界的)で同時に流行すること、あるいは、世界的に流行する感染症を指して言う。「感染爆発」と呼ぶこともある」ということ。
身近なところではインフルエンザの流行もパンデミックのひとつ。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。
さらに今年に入って、新型コロナウイルスが猛威を振るっています。中国武漢を感染源とした感染は2020年4月5日現在、全世界の感染者120万4千人、死亡者数6万4千人に達しています。
爆発的に拡がり、時として死に至らしめるウイルスの脅威は映画のテーマとしても取り上げられおり、過去に様々な作品が作られています。
その中で特にお勧めな作品を紹介しましょう。
名優ダスティン・ホフマンが化学兵器として開発されたウイルスと戦う『アウトブレイク』(1995年)
非常に致死性の高いウイルスを体内に保持していたサルがアフリカからアメリカに密輸され、サルと接触した密輸ブローカーとペットショップの店主がウィルスに感染。高熱に見舞われ、目や鼻から血を溢れ出し、最後には内臓が溶かされて死に至る。ウィルスの感染はとある郊外の町全体に一気に拡大していく。
実はウィルスは十数年前に細菌兵器として開発されたもので、当時その事実を隠すために感染が拡がったアフリカの村全体を兵士も含め特殊爆弾で爆破していた。
本作のタイトルである『アウトブレイク』とは、ある限定された領域(国、村、病院内など)の中で、一定期間に予想以上の頻度で疾病が発生すること。
参考:看護用語辞典ナースpedeia
本作で登場するウイルスはエボラ出血熱をモデルにしているようです。感染力は強力で、最初は患者の唾液飛沫からの接触感染でしたが、進化を遂げ、空気感染するようになります。症状はエボラ出血熱より強烈です。
主人公のアメリカ軍所属細菌研究者を演じたのは名優・ダスティン・ホフマン。元同僚で離婚したばかりの妻をレネ・ルッソが演じています。
ウイルスが戦争中に開発された細菌兵器だったという設定のため、真実を知られたくない軍上層部とウイルスを撲滅しようと奮闘する主人公との限られた時間内での攻防がスリリング。ハラハラドキドキする展開を見せます。
お勧め度:
接触感染で爆発的に拡がるウイルスの恐怖を描く『コンテイジョン』(2011年)
タイトルの『コンティジョン』とは「接触感染」という意味。
香港での出張から帰還したベス(グウィネス・パルトロー)は原因不明の高熱に侵され、激しい痙攣に見舞われる。夫であるミッチ(マット・デイモン)は彼女を病院へ連れて行くが、脳を犯された彼女は死亡。シカゴの街は感染が拡大し、厳戒態勢に。その後、世界中で次々と患者が発生。 ローレンス・フィッシュバーン演じる医師エリス・チーヴァーを中心とした医師団はワクチンの生成に奮闘する。
出演陣が豪華
本作は出演陣が豪華。
マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレットなど超有名俳優がたくさん出演しています。
グウィネス・パルトローと言えば、本作時点ですでに超有名女優になっていますが、最初の被害者として、冒頭で死亡してしまい、あとは記録されたビデオでの登場。彼女ならウィルスと戦う医者役が妥当なんですがね。検視のため開頭されるシーンもあってドキッとします。
ネットで拡散する情報操作も描かれる
ジュード・ロウが演じるフリーライターがウィルス感染の情報をインターネットからいち早く掴み、自身が運営するブログでその情報を拡散させます。さらに彼はウィルス撃退に効く薬としてレンギョウをあげ、製薬会社の株価操作も試みます。
インターネットでの情報拡散という現代の社会現象も取り上げています。
ラストで感染経路が明かされる
無事にワクチンが開発され、事態は一応収拾の目途がついたところでエンディングとなります。
バナナ畑でウイルスを保菌していたコウモリがバナナを摘み、豚舎で食べかけのバナナを落とします。バナナの欠片を豚が食べ、豚がウイルスに感染、その豚を香港の中華料理店のコック長が解体。血まみれになった手で出張中にその料理店を訪れていたベス(グウィネス・パルトロー)と握手したことで、ベスに感染。ベスの体内でウイルスは人間の細胞に適応し、爆発的な感染源となったのです。
ウイルスは下等生物からより上等生物へと侵入を続け、最終的には進化の頂点である人間を襲う。誰もが感染源になるという恐ろしさを本作は提示しています。
ラストに向かうまでに盛り上がりに欠ける?
本作は豪華俳優陣を配して、パンデミックの恐怖を題材にしている割にはラストに向かう盛り上がりに欠けます。
ワクチンの発見も奇蹟的な要素もなく、その後、大きな混乱シーンも淡々とした感じの描写。ハラハラドキドキ感が足りないように感じます。
しかし、爆発的に拡大したウイルスの感染症も、やがてワクチンが開発されれば、静かに沈静化していくのも事実。これがリアルな描写なのかもしれません。
お勧め度:
邦画パンデミック映画の傑作『感染列島』 (2007年)
本作は妻夫木聡が緊急救命医、檀れいがWHO職員として共演する和製パンデミック映画です。
フィリピンのある村で発生した新型インフルエンザ。
3か月後に東京郊外の養鶏場のニワトリが新型インフルエンザに感染する。
同じ市内の病院に救急患者として運ばれた患者が新型インフルエンザの症状で治療の甲斐なく死亡してしまう。その患者は前日に救命医である松岡(妻夫木聡)が診察した患者で、風邪として帰宅させた患者だった。
やがて各地で同じ症状の患者が発生。最初の感染源として、病院が封鎖され、WHOメディカルオフィサー小林(檀れい)を中心にウイルスの正体が解明されていく。
しかし、ウイルスは新型インフルエンザではなく、未開の地で診療をしていた一人の医師が持ち込んだ恐ろしい新種のウイルスだった。
遠い異国で発生した疫病が、ある一人の人間によって、日本に持ち込まれ、あっという間に全国に感染していく。
最初は小さなきっかけであっても、日本の密集した地域では瞬時に感染が拡大していくというパンデミックの恐怖を映像化した作品です。
檀れい演じる小林が感染した自らの身体を検体にして治療方法を発見し、自らは亡くなるものの、一人の少女を始め、多くの患者を救うストーリーは感動させられます。
お勧め度: