40年前の作品ながら、いま切実な思いで観られる『復活の日』

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年明けから始まった新型コロナ騒動。3月に入って、感染はさらに世界中に拡大し、4月になって日本でも7都道府県で緊急事態宣言が発令されました。

いつになったら終息の目途が立つのか?現時点では誰も知りません。

ウィルスによる感染騒動をテーマにした作品は『アウトブレイク』(1995年)、『コンティジョン』(2011年)、邦画でも『感染列島』(2007年)がありますが、40年前の1980年に公開されたウィルスによる人類滅亡をテーマにした邦画『復活の日』をご存知でしょうか?

原作はSF小説の重鎮・小松左京作品『復活の日』

原作はSF小説の重鎮・小松左京による『復活の日』。なんと映画公開16年前の1964年に発表されたSF小説です。彼の初のSF長編作品です。

簡単にストーリーを説明すると、

イギリス陸軍細菌戦研究所で開発中だった猛毒の新型ウイルス「MM-88」がスパイによって持ち出され、運搬中の小型飛行機がアルプス山中で墜落し、ウイルス保管器が破損。春になって気温が上昇すると、「MM-88」は増殖飛散し、世界中に蔓延してしまう。当初は新型インフルエンザと思われたが、インフルエンザの症状ではない心臓発作による謎の突然死が多発。病原体が見つからないまま、半年後に人類は壊滅状態になります。

ウイルスが極寒環境では活動できないことから、わずかに生き残ったのが、極寒環境にいた南極観測隊隊員たち。彼らは「南極連邦委員会」を設立し、人類再建を目指すことになります。

ある日、日本の越冬隊員であった地震学者・吉住周三はM9クラスの大地震が米国東地方を襲うことを予測。そこには核ミサイルが配備されていて、大規模な地震に見舞われると、核ミサイル攻撃と誤認し、核ミサイルが自動的に発射されてしまうことを知ります。核ミサイルは敵国であるソ連に向けられ、ソ連も同じく、核ミサイルを感知すれば、米国および軍事施設へ投下されるよう配備されていました。投下目標となる軍事施設の中に南極基地も含まれていることをソ連の南極隊員から知らされます。

ワシントンにある核発射システム(ARS)を停止するため、米国南極隊員カーター少佐と吉住はイギリス軍潜水艦でワシントンへ向かいます。しかし、彼らがARSシステムを止める前に巨大地震が襲い、核ミサイルはソ連へ向かって発射。やがてソ連からも核ミサイルが自動発射され、世界は2回目の死を迎えることになります。

なんとか命を繋いだ吉住は南極へ戻るべく、大陸を徒歩で南下します。数年後、身体も最新もボロボロになった吉住は南極から逃れ、南アメリカ大陸の南端で過ごしていた僅かな人々と再会を果たすのです。

映画では、殺人ウイルスを開発したのは当時の東側国である東ドイツに変更され、南極隊員の総数も863人程度に減らしていますが、ほぼ原作通りです。

病院の混乱シーンがまさに今の状況を見ているよう

映画の前半で、感染者が増え始めた東京のシーンが登場しますが、病院に殺到する人々や不眠不休で診察に当たる医師と看護師の様子が描かれます。

そのシーンはまさに今、ニュース映像で流される世界各国の病院の様子そのものです。まるで予言したかのようなシーンとなっています。

医師を演じているのが緒形拳、看護師を演じているのが多岐川裕美です。

緒形拳演じる医師は過労と感染で病院内で死亡、多岐川裕美演じる看護師は母親を病で失った男の子を乗せて、ボートで海上へ。そして、男の子に薬(たぶん致死量の睡眠薬)を飲ませると自らも飲み、死を選びます。

南極に残った僅かな人類をさらに試練が襲う

ウイルスが極寒に弱いことで、感染を免れた世界各国の越冬隊隊員863人。彼らは臨時の政府である「南極連邦委員会」を設立し、人類存続のための施策を模索します。

本作はただ単にウイルスによる人類滅亡を描くだけではなく、生き残った僅かな人類の再生への試練を描いています。

小松左京のSF大作は本作以外でも『日本沈没』、『首都消失』などがありますが、いずれも緻密なシミュレーションで構成され、関心させられるシーンが満載です。

人類存続のために女性は子供を産む役割を担う

男性ばかりで女性の隊員は8名のみ。人類を存続するために、8名の女性たちは半ば強制的に子供を産む役割を担うことに。

恋愛の自由もなく、ただ人類を増やすためだけの生殖行為。始めは女性たちも反発しましたが、拒めば人類の未来はないのです。

さらに核ミサイルの脅威が襲う

「南極連邦委員会」によりなんとか秩序が保たれるようになり、ウイルスの脅威が収まるまで、南極に留まれば生き延びることができるようになりましたが、さらに彼らを核ミサイルの脅威が襲います。

ウイルスも核ミサイルも人類が兵器として開発したもの。自然の驚異ではなく、人類が自ら招いた脅威なのです。

本作は日本SFの巨匠小松左京の人類への警告をリアルに映像化した作品となっています。

有名ハリウッド俳優が多数出演

全世界が舞台となっているだけあって、日本人の有名俳優なかりでなく、ハリウッドからも有名俳優が出演しています。

本作のヒロインとなる南極ノルウェー隊員役のオリビア・ハッセー、アメリカ隊のジョージ・ケネディ、イギリス潜水艦船長役のチャック・コナーズ、米国大統領役のグレン・フォード、米国上院議員役のロバート・ボーン、米軍幹部役のヘンリー・シルバなど。

日本側は主役である吉住を演じる草刈正雄、南極日本隊隊長役の渡瀬恒彦、隊員役の夏八木勲、千葉真一、森田健作、永島敏行など。

若き草刈正雄が超イケメン

草刈正雄はNHK大河ドラマ『真田丸』で真田昌幸、朝ドラ『なつぞら』では主人公なつの義理祖父を演じ、ナイスミドルとして人気が再燃しています。現在68歳。

本作公開時は28歳で、ハーフらしい超美形にうっとりしてしまいます。世界的美人のオリビア・ハッセー(当時29歳)と惹かれ合うシーンはなんとも美しい。

なんとオリビア・ハッセーはこの年、布施明と結婚してしまったのですね。本作とは関係ないけど。

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復活の日

和製SF作品ながら見劣りしない作り

和製SF映画というと、陳腐な模型を使って、登場する外国人も知名度の低い役者を使うことが多いのですが、本作は有名俳優、本物の潜水艦、リアルな演出など陳腐さがない見劣りしない作品に仕上がっています。

製作費が25億から30億とも。当時では破格な費用となっています。

製作は角川映画で、1976年公開『犬神家の一族』から始まった一連の角川作品の8作目の超大作。しかし、興行収入は24億と製作費をペイできなかったようですね。

小説本と映画を同時に売りだす商戦で一躍有名エンタメ企業となった角川。またいつか角川映画の特集記事を書きたいと思います。

お勧め度:(3.5/5)

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