2007年にローランド・エメリッヒが1966年公開の『ミクロの決死圏』をリメイクすると発表してから随分経過しています。
2016年にギレルモ・デル・トロが監督をするという情報が流れていましたが、それから5年経った現時点でも製作が始まったという情報がありません。
ギレルモ・デル・トロ監督の『ミクロの決死圏』リメイク版の製作が延期されているのは『シェイプ・オブ・ウォーター』の製作に集中したかったという情報もありますが、本作はすでに2017年に公開されていて、彼の次回作は『ピノキオ』(2021年公開)、『ナイトメア・アレイ』(2021年12月米公開)となっています。『ミクロの決死圏』の情報はありません。
さて、1966年に公開された『ミクロの決死圏』とはどういう作品なのでしょうか?
かつてテレビの洋画劇場で3回ほど1979年6月29日『ゴールデン洋画劇場』(フジ系列)、1980年6月15日『日曜洋画劇場』、1994年5月29日『日曜洋画劇場』(テレビ朝日系列)で放送され、僕は1979年に初めて鑑賞したと思います。その後、最近になってNHKBSプレミアムでも放送され、BD-Rにダビングしていたので、本記事を書くために再鑑賞しています。
ミクロ化した人間たちが人体内で治療を試みる
本作の原題は『Fantastic Voyage』。直訳すると「幻想的航海」となりますが、邦題は「ミクロの決死圏」となっています。
銃撃を受けて瀕死の重傷を負った科学者を救うために、ミクロ化した人間たちを体内に送り込んで内部から治療を試みるというストーリーなので、邦題の「ミクロの決死圏」の方がわかりやすいタイトルとなります。
では「幻想的航海」は内容から外れているかというとそんなことはなく、体内の映像がファンタスティックな視覚効果で表現されていて、まさに幻想的です。幻想的な体内を潜航艇で航海していくのですから的は得ています。
ミクロ化できる時間は1時間
ミクロ化できる技術が開発されましたが、1時間経つと元に戻ってしまう。アメリカはこの限界を克服する技術を開発した東側の科学者を亡命させますが、途中襲撃を受けて、科学者は脳内出血を起こし瀕死の状態に。
科学者を救うには体内から患部を治療するしか方法がなく、5人の医療チームが特殊潜航艇に乗り科学者の体内に注入されます。
本作は1時間しかミクロ化できないという制限を付けることで、緊迫感を持ったストーリーに仕上がっています。
人間が持つ免疫機能に襲われる
医療チームは人間の身体にとっては外部からの侵入者ですから、血小板や白血球などの免疫機能から攻撃を受けることになります。
ラクエル・ウェルチ演じる医療助手コーラが免疫機能に攻撃され、絞殺されそうになるシーンが印象的。人間の免疫機能に感心してしまいます。
チーム内にスパイがいる?
患部がある脳内にたどり着くまで緊迫の展開が繰り広げられますが、医療チーム内にスパイの存在を匂わすことでさらに緊迫度が増しています。そしてこの設定がラストで意外な展開を見せることになります。
体外に脱出できるのか?緊迫のラスト
最後の見どころが体外脱出シーンです。
なんとか脳内の幹部の治療ができたものの、特殊潜航艇が白血球により破壊され、決められた脱出場所への移動が間に合わなくなりました。
残されたチームクルーたちは脳から脱出できる一番の近道まで泳いで移動することになります。
果たして、残された僅かな時間で体外に脱出できるのか?
最後までハラハラドキドキの気が抜けない展開です。
グラマー女優ラクエル・ウェルチの出世作
本作で医療助手コーラ・ピーターソンを演じるラクエル・ウェルチ。そのグラマーな体形から肉体派女優として一世を風靡しています。
本作では身体のシルエットが浮き出るウエットスーツ姿で登場しています。
本作以外では1966年公開作品『恐竜100万年』のビキニ原始人が必見です。
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『ミクロの決死圏』は55年前のSF作品ですが、科学的要素、スパイアクション要素を持った今でも見劣りがしない傑作です。
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