死んでからも君を守る!死と愛を巡る幽霊の物語『ゴースト/ニューヨークの幻』と『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』

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幽霊という存在は、映画において古くから人間の感情や存在の儚さを描くための象徴として使われてきました。1990年に公開された『ゴースト/ニューヨークの幻』(監督:ジェリー・ザッカー)と、2017年の『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』(監督:デヴィッド・ロウリー)は、どちらも幽霊を主人公に据えた作品ですが、時代もトーンも大きく異なるこれら二つの映画には、驚くほど共通するテーマが存在します。それは「死後も残る愛の力」と「時間に対する人間の無力さ」です。この記事では、両作品の共通点を探りつつ、それぞれの見どころを深掘りし、なぜこれらが観る者の心に残るのかを考察します。

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共通テーマ1:死を超えた愛の絆

『ゴースト/ニューヨークの幻』は、サム(パトリック・スウェイジ)とモリー(デミ・ムーア)のラブストーリーを軸に展開します。サムは強盗に襲われて命を落とし幽霊となりますが、モリーを守るため、そして彼女に最後のメッセージを伝えるために現世に留まります。一方、『A GHOST STORY』では、C(ケイシー・アフレック)が交通事故で死に、白いシーツを被った幽霊として妻M(ルーニー・マーラ)を見守り続けます。両作品とも、死が愛する者を物理的に引き離しても、精神的な結びつきは決して途切れないことを描いています。

『ゴースト/ニューヨークの幻』では、サムが霊媒師オダ・メイ(ウーピー・ゴールドバーグ)を通じてモリーに「愛してる」と伝えるクライマックスが象徴的です。このシーンは、言葉を超えた愛の力が観客の涙を誘います。一方、『A GHOST STORY』では、Cが静かにMの生活を見つめる姿に言葉はありません。彼女が新しい人生を歩み始めても、彼はそこに留まり、愛の執着とも取れる感情をシーツの下に隠しています。この対比が面白いところです。前者は愛を積極的に伝えようとする能動的な幽霊像、後者は愛を見守るしかない受動的な幽霊像として、異なるアプローチで同じテーマを描き出しています。

共通テーマ2:時間と存在の儚さ

両作品は、幽霊という視点を通じて「時間」という概念を深く掘り下げます。『ゴースト/ニューヨークの幻』では、サムが死後も現世に留まる時間は限られており、彼の目的が達成されると光の中へと旅立っていきます。この時間の制約が、物語に切迫感と感動を与えています。一方、『A GHOST STORY』は時間の流れを極端に拡大し、Cが何十年、何世紀にもわたって同じ場所に留まる姿を描きます。Mが去り、家が壊され、新しい建物が建ち、さらには未来へと時間が進む中、彼はただそこに「いる」だけです。

この時間の描き方の違いが、両作品のトーンを決定づけています。『ゴースト/ニューヨークの幻』はハリウッドらしいドラマチックな展開で、時間内に愛を全うすることに焦点を当てた希望的な物語です。対して、『A GHOST STORY』はインディペンデント映画らしい静謐さで、時間がどれだけ無慈悲に過ぎ去るかを観客に突きつけます。どちらも幽霊が「見るしかない」存在である点で共通しており、人間が時間に抗えない現実を映し出しています。

『ゴースト/ニューヨークの幻』あらすじ

ニューヨークで暮らす銀行員のサム・ウィート(パトリック・スウェイジ)と、恋人で陶芸家のモリー・ジェンセン(デミ・ムーア)は、幸せな日々を送っていました。ある日、サムは親友で同僚のカール(トニー・ゴールドウィン)と共に、仕事上の不正な資金移動に気づきます。真相を突き止めようと調査を進めるサムでしたが、その夜、モリーと劇場からの帰り道で突然強盗に襲われます。揉み合いの中でサムは銃で撃たれ、命を落としてしまいます。

しかし、サムの魂は死後も現世に留まり、幽霊としてモリーのそばにいることに気づきます。彼はモリーに危険が迫っていることを感じ、なんとか彼女を守ろうとしますが、幽霊であるがゆえに物理的な接触はできず、声を届けることもできません。そんな中、サムは霊媒師を名乗るオダ・メイ・ブラウン(ウーピー・ゴールドバーグ)と出会います。オダ・メイは詐欺師まがいの商売をしていましたが、実は本物の霊能力を持っていて、サムの声を聞くことができる唯一の存在でした。

サムはオダ・メイを通じてモリーに接触を試みますが、モリーは最初、オダ・メイの言葉を信じません。一方、サムは自分の死の真相を調べるうちに、襲撃が偶然ではなく、カールが裏で糸を引いていたことを知ります。カールは不正資金の隠蔽を図るため、サムを殺害するよう手配していたのです。さらに、カールはモリーに近づき、彼女を危険に晒そうとしていました。

サムは幽霊としての能力を少しずつ学び、物体を動かしたりする力を身につけます。オダ・メイと共に、カールの悪事を暴き、モリーを守るために奔走します。オダ・メイを通じてサムはモリーに「愛してる」と伝え、ようやく彼女に自分の存在を信じさせます。しかし、カールの追跡は続き、オダ・メイとモリーは命の危険に晒されます。サムは最後の力を振り絞り、カールを追い詰め、彼を事故で死に追いやります。

カールの魂が闇に引きずり込まれる中、サムの目的は果たされ、彼の魂は光の中へと旅立つ時を迎えます。モリーに最後の別れを告げ、彼女に見守られながら、サムは天国へと昇っていくのでした。

『ゴースト/ニューヨークの幻』の見どころ

この映画は、愛と死後の世界をテーマにしたロマンティックなファンタジーでありながら、サスペンス要素も巧みに織り交ぜた作品です。特に、サムとモリーの陶芸シーンや、「Unchained Melody」が流れる中での別れのシーンは、映画史に残る名場面として知られています。また、ウーピー・ゴールドバーグのユーモア溢れる演技が、物語に軽やかさを加え、感動と笑いのバランスが絶妙です。

パトリック・スウェイジとデミ・ムーアのケミストリー

サムとモリーの愛情は、映画の心臓部です。特に有名な陶芸シーンの官能的な雰囲気は、1990年代のロマンス映画のアイコンとして今も語り継がれています。二人が「Unchained Melody」に合わせて陶器を作る場面は、愛の純粋さと儚さを象徴する名シーン。スウェイジの優しさとムーアの繊細さが絶妙に絡み合い、観客を引き込みます。

ウーピー・ゴールドバーグのユーモア

オダ・メイ役のウーピー・ゴールドバーグは、シリアスな物語に軽妙なユーモアを注入します。彼女のコミカルな演技は、サムの幽霊としての葛藤を和らげ、観客に笑いと安堵を与えるバランス役。彼女がアカデミー賞助演女優賞を受賞したのも納得の名演です。

クライマックスの感動

サムがモリーに別れを告げ、光の中へ去るシーンは涙なしには見られません。「愛してる」という言葉が、物理的な接触を超えて心に響く瞬間は、シンプルながら深い余韻を残します。ロマンスとスピリチュアルな要素が融合した、ハリウッドらしいカタルシスがここにあります。

『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』あらすじ

アメリカの郊外で暮らす若い夫婦、C(ケイシー・アフレック)とM(ルーニー・マーラ)は、静かで愛情に満ちた日々を送っていました。Cは音楽家として活動しており、二人は古い一軒家で穏やかな時間を共有しています。しかし、ある日、Cは交通事故で突然命を落としてしまいます。病院の遺体安置所でMが彼の亡魂に別れを告げた後、Cは白いシーツを被った幽霊として目覚めます。シーツには黒い目のような穴が二つあり、彼はその姿で現世に留まることになります。

幽霊となったCは、自分が住んでいた家に戻り、Mのそばに寄り添います。しかし、幽霊である彼は物理的に干渉することができず、ただ彼女の生活を静かに見守るしかありません。Mは深い悲しみに沈みながらも、少しずつ日常を取り戻そうとします。ある日、彼女はパイを食べながら感情を抑えきれず、長い時間をかけてその悲しみを吐き出す姿をCはただ見つめるだけです。やがてMは新しい生活を始めるために家を出て行き、Cは取り残されます。

家には新しい住人が次々とやってきますが、Cはそこに留まり続けます。時間は無情に流れ、家は取り壊され、新しい建物が建ちます。Cは過去と未来を行き来するような体験をしながら、時間がどれだけ長いかを体感します。ある場面では、19世紀の開拓民の家族がその土地に住む様子を目撃し、彼らが悲劇的な最期を迎える瞬間を見届けます。また、未来では、近代的なビルが立ち並ぶ中、Cは依然としてシーツを被った姿で彷徨います。

Cは家に隠されていたMからの手紙を見つけようと執着します。それはMが引っ越す前に壁の隙間に隠した小さなメモで、Cにとって彼女との最後の繋がりでした。長い年月を経て、家が再び取り壊され、Cはついにそのメモを手に入れます。メモを読むと、彼の魂はようやく解放され、シーツが地面に落ち、Cは姿を消します。

『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』の見どころ

『A GHOST STORY』は、従来の幽霊映画とは一線を画す、静かで詩的な作品です。言葉や説明を極力排し、映像と音楽で感情を伝える手法が特徴的です。Cがシーツを被った幽霊として登場する姿は、どこか滑稽でありながら深い哀愁を湛えており、時間の流れや存在の儚さを象徴しています。ルーニー・マーラが演じるMの悲しみや、ケイシー・アフレックがシーツの下で表現する無言の感情は、観る者に強い印象を残します。

特に、時間が無限に続くような感覚や、人間がどれだけ何かを残そうとしても最終的には消えてしまうというテーマが、映画全体を通じて描かれています。デヴィッド・ロウリー監督の独特な演出と、ダニエル・ハートの音楽が、物語の静寂と情感を一層引き立てています。

ビジュアルと静寂の美学

本作の最大の見どころは、そのミニマリスティックな映像美です。白いシーツを被った幽霊というシンプルな姿が、逆に深い哀愁と孤独を表現しています。デヴィッド・ロウリー監督は、長いショットと静寂を多用し、観客に感情を「感じさせる」手法を取ります。例えば、Mがパイを食べる長いシーンは、悲しみの重さを無言で伝える傑作です。

時間の哲学的考察

映画は単なる幽霊話に留まらず、時間と記憶の本質に迫ります。Cが家の歴史を遡り、未来を見届ける展開は、まるで人間の存在そのものを俯瞰しているかのよう。ある登場人物が語る「人は何かを残そうとするが、結局すべて消える」というモノローグは、映画の核心を突く哲学的な問いです。

ルーニー・マーラの抑えた演技

M役のルーニー・マーラは、言葉少なく表情と仕草だけで深い悲しみを表現します。彼女がCの死後、日常を続ける姿には、観客が感情移入せざるを得ないリアリティがあります。特に、Cの幽霊がそばにいることを知らずに過ごす彼女の姿は、切なさを増幅させます。

二つの幽霊が教えてくれること

『ゴースト/ニューヨークの幻』は、愛が死を超えて人を救う物語として、希望と癒しを与えてくれる作品です。一方で、『A GHOST STORY』は、愛がどれだけ強くても時間には勝てないという現実を突きつけ、観る者に静かな諦念と内省を促します。両者は正反対のアプローチを取っていますが、どちらも「幽霊」という存在を通じて、人間が最も大切にするもの——愛、記憶、時間——を描き出しています。

まとめ:どちらを観るべきか?

もしあなたがロマンティックで感動的な物語を求めるなら、『ゴースト/ニューヨークの幻』は間違いなく心に響くでしょう。一方、静かで思索的な映画体験をしたいなら、『A GHOST STORY』が新たな視点を与えてくれます。どちらも幽霊という非現実的な存在を借りて、現実の感情を浮き彫りにする傑作です。時間があれば、ぜひ両方を観て、その違いと共通点を味わってみてください。幽霊が見つめる先に、私たち自身の姿が映っているかもしれません。

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