『サユリ』あらすじ・テーマ・徹底考察|Jホラーに革命を起こした”ポジティブホラー”の全貌

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2024年8月23日に公開されたホラー映画『サユリ』は、公開直後からSNSや映画ファンの間で大きな話題を呼びました。「Jホラー低迷期に現れた救世主」「近年最高のホラーエンタメ」と称され、映画レビューサイトFilmarksでは平均スコア3.7点(約2万件以上のレビュー)という高い評価を獲得。さらに2026年2月にはNetflixでの配信も開始され、改めて注目を集めています。

原作は押切蓮介による人気ホラー漫画『サユリ 完全版』(幻冬舎コミックス)。それを『コワすぎ!』シリーズで知られる異才・白石晃士監督が映画化した本作は、”王道ホラー”と見せかけて従来のJホラーの不文律を次々と破壊し、笑いと恐怖と感動が渾然一体となった唯一無二の作品へと仕上げられています。

この記事では、映画『サユリ』のあらすじを振り返りながら、作品に込められたテーマや深読みポイント、そして類似作品まで徹底的に考察していきます。

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作品基本情報

  • 公開日:2024年8月23日
  • 上映時間:108分
  • ジャンル:ホラー(R15+)
  • 監督:白石晃士
  • 脚本:安里麻里・白石晃士
  • 原作:押切蓮介『サユリ 完全版』(幻冬舎コミックス)
  • 主なキャスト:南出凌嘉、根岸季衣、近藤華、梶原善、占部房子、きたろう、森田想、猪股怜生
  • 配給:ショウゲート

あらすじ:夢のマイホームが恐怖の舞台へ

映画『サユリ』本予告

起:引っ越してきた神木家

中学3年生の神木則雄(南出凌嘉)は、父・昭雄(梶原善)の念願だった一軒家のマイホームへ引っ越してきます。母・正子(占部房子)、姉・径子(森田想)、弟・俊(猪股怜生)、そして祖父・章造(きたろう)と認知症の祖母・春枝(根岸季衣)を含む大家族7人での新生活が始まりました。

しかしその喜びも束の間。則雄は学校でクラスメイトの住田(近藤華)から突然「気をつけて」と声をかけられます。住田は霊感を持つ少女で、則雄に少女の幽霊が憑いていることを察知していたのです。

新居では早々に奇怪な現象が起き始めます。どこからともなく聞こえてくる少女の笑い声、勝手に点灯するテレビ——不穏な空気が家全体を包み込んでいきます。

承:家族が次々と死んでいく

ある朝、父・昭雄が姉・径子の部屋で心筋梗塞により死亡します。その部屋はかつてこの家に住んでいた少女・サユリが引きこもっていた場所でした。径子はいつしかサユリに操られ、正気を失っていったのです。

続いて祖父・章造も庭の一箇所を執拗に掘り返しながら心不全で死亡。間もなく弟・俊が3階から転落死、姉・径子は自らの首にナイフを刺して死亡、そして母・正子が首吊り自殺を遂げます。一夜のうちに3人が命を落とすという凄惨な状況の中、則雄は家族全員をほぼ失ってしまいます。

転:認知症のばあちゃん、覚醒

絶望の淵に立たされた則雄のもとに現れたのは、認知症で正気を失っていたはずの祖母・春枝でした。愛する家族を次々と失ったことで、春枝の意識が覚醒したのです。彼女はタバコを吸いながら颯爽と現れ、こう言い放ちます。

「いいか。ワシら2人で、さっきのアレを、地獄送りにしてやるんじゃ!復讐じゃ!!」

春枝は則雄に「生命力を濃くすれば幽霊はとり殺せない」と説きます。毎日しっかり食べ、十分に眠り、太極拳で気を練ることで生命エネルギーを高める特訓が始まります。さらに「幽霊が来たら、命が乗っかった言葉をぶつけろ。うんと下品なやつがいい」と指示。則雄が叫ぶ破天荒な一言でサユリの霊を撃退するシーンは、本作最大の名場面のひとつとなっています。

調査を進めた春枝は、祖父・章造が掘り返していた場所から頭蓋骨と学生証を発見します。「九条小百合」——それがこの家に棲む怨霊の名前でした。

結:サユリの真実と決着

サユリは生前、この家で家族から虐待を受け続けていた少女でした。サユリの実家族を突き止めた春枝は、彼らを連れ帰り、怨霊と向き合わせます。憎き相手に対する復讐を遂げる中で、サユリは幼い子供の姿に戻り、泣きじゃくります。サユリの母・美里はひたすらに「ごめん」と謝り続け、消えることのない傷を抱えたまま、サユリの魂はやがてあの世へと旅立ちます。神木家の亡くなった家族たちが迎えに来るかのように。

現世に残された則雄と春枝。則雄は理不尽な結末に怒りを覚えますが、春枝は「生きる者の責務」を静かに説きます。そして、救出された住田とともに、則雄は力強く生を歩み続けるのでした。

作品のテーマ:「生命力」と「怒り」の物語

テーマ①:生きることへの肯定

本作の最大のテーマは「生命力」です。サユリの怨霊は、精神的に弱った人間を狙ってとり殺します。逆に言えば、しっかり食べ、眠り、日常を丁寧に送ることが最強の霊的防衛になる——これは「ホラー映画」という装いをとりながら、実は非常に力強い「生きることへの讃歌」です。

ばあちゃん・春枝が則雄に特訓として課すのは、太極拳や食事管理といったきわめて現実的な養生法。超自然的な呪文や特別な能力ではなく、「生きている人間として当たり前のことを当たり前にやる」ことが怪異への最大の対抗手段だというメッセージは、現代社会で精神的に疲弊しがちな観客の心に深く響きます。

テーマ②:児童虐待への社会的批判

サユリの悲劇は、家族という閉ざされた空間の中で行われた虐待によって生まれたものです。映画は前半のホラー展開からサユリの生前の物語に移行するにつれ、ただの「怖い幽霊」だった存在に深い悲しみと人間性を与えます。

「サユリのような人生が現実にあるのかと思うと非常に悲しくなり泣けてくる」という観客の声が多く寄せられているように、本作は「なぜサユリは怨霊になったのか」を丁寧に描くことで、児童虐待という現実の社会問題への告発を静かに行っています。ホラーというジャンルでありながら、被害者の痛みに真摯に向き合っている点が、本作の深みを生んでいます。

テーマ③:Jホラーの”不文律破り”

白石晃士監督は本作で、Jホラーが長年守ってきた「暗黙のルール」を意図的に打ち破っています。日本のホラー映画における幽霊は「物理的攻撃が効かない」「供養すれば成仏する」「青白くじっとりした存在」というイメージが定着していました。しかし本作のサユリは、バールで頭を殴り、物理的に人を殺し、まるで殺人鬼のように振る舞います。

この「幽霊の特権」をぶち壊すことで生まれる新鮮な恐怖と、生命力という逆転の発想による対抗——これこそが本作を「近年最高のJホラー」と評させた革新性です。

深読み考察:ばあちゃんはなぜ覚醒したのか

物語上の最大の謎のひとつが「なぜ認知症の春枝が覚醒したのか」という点です。

医学的な説明はなされていませんが、心理的・感情的な観点から解釈すると、「極限の悲しみと怒り」が彼女の意識を呼び覚ましたと見ることができます。愛する夫、息子家族、孫たちを次々と失うという絶対的な喪失体験が、長年の認知症という霧を突き破る感情の爆発を引き起こしたのです。

これは「生命力」というテーマとも深く連動しています。春枝はまさに怒りと悲しみ、そして愛する者への義憤という最も濃密な感情によって、誰よりも生命力に満ちた存在となり、怨霊とも互角以上に渡り合えるようになったと解釈できます。

また、春枝が最後に「元のばあちゃんに戻った」ように見えながらも、その「片鱗」は残り続けるというラストの描写は、「覚醒した生命力は一度消えるものではない」というメッセージを示唆しているようにも読めます。

類似作品の紹介:このテイストが好きなら必見

①『呪怨』(2002年/清水崇監督)

Jホラーの金字塔的存在。本作同様、ある家に棲みつく怨霊が住人を次々と殺していく構造を持っています。サユリと比較することで、Jホラーが「供養できない絶対的な怨霊」という概念を確立した経緯がよくわかります。

②『リング』(1998年/中田秀夫監督)

「幽霊に物語(バックストーリー)がある」という点で本作と共鳴します。サユリと貞子、どちらも生前に深刻な人権侵害を受けた存在であり、その怨念の根源を探ることが物語の核となっています。

③『コワすぎ!』シリーズ(白石晃士監督)

本作の監督・白石晃士の代表作。「物理で幽霊に対抗する」という本作のDNAはここから来ています。豪快なキャラクターが霊現象に真っ向から挑むPOVホラーは、白石ワールドの原点として必見です。

④『ハロウィン』(1978年/ジョン・カーペンター監督)

サユリの「バールで頭を殴る」という暴力的な攻撃性は、西洋スラッシャーホラーのアイコニックな殺人鬼像に近いものがあります。アメリカンホラーの文脈と日本の怪談文化を融合させた本作のユニークさが際立ちます。

⑤『女優霊』(1996年/中田秀夫監督)

Jホラー黎明期の古典。家屋や閉鎖空間に潜む霊という設定、「見えているのに誰も信じてくれない」という恐怖の構造など、本作と共有する要素が多く、Jホラーの系譜を理解する上で重要な一本です。

⑥『search/#サーチ2』(2023年)

直接的なホラーではありませんが、「家族の秘密が暴かれていく」というサスペンス構造において共鳴します。サユリの「家族によって引き起こされた悲劇」というテーマに関心を持った方に特におすすめです。

まとめ:「ポジティブホラー」という新ジャンルの誕生

映画『サユリ』は、単なるホラー映画の枠を大きく超えた作品です。怖くて笑えて、泣けて、そして最後には「よし、生きよう」という気持ちにさせてくれる——主演の南出凌嘉が本作を「ポジティブホラー」と名付けたのは、まさに言い得て妙です。

「生命力を濃くすれば怨霊は怖くない」というメッセージは、ホラーとしての文法を保ちながら、現代を生きる私たちへの力強いエールでもあります。虐待という社会問題への怒り、家族への深い愛、そしてどんな理不尽にも屈しない人間の生命力——これらすべてが凝縮された本作は、2024年の日本映画の中でも特別な輝きを放っています。

Jホラーが「怖い」だけではなく「熱い」ものになれることを証明してみせた映画『サユリ』。まだご覧になっていない方は、ぜひNetflixやソフト版でその衝撃を体感してみてください。見終わった後、きっとごはんをおいしく食べたくなるはずです。

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