4Kリマスター化され劇場公開された今は無き大映が製作したモンスター映画「大魔神」シリーズ

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事は約9分で読めます。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

大映が製作した時代劇とモンスターを融合した作品

『大魔神』は1966年(昭和41年)に当時の映画製作会社であった大映が製作したモンスター映画です。

モンスターが登場する作品にしては珍しく時代設定は戦国時代。
つまりモンスターが登場する時代劇です。

東宝はゴジラシリーズがヒットしていて、前年の40年にはゴジラシリーズ第六作目の『怪獣大戦争』が公開されていました。

大映にはもうひとつのモンスター映画『ガメラ』を1965年に公開していて、『ガメラ』が東京の撮影所で製作していたのに対して、『大魔神』は京都の撮影所で製作していました。

『大魔神』シリーズは、時代劇と特撮が巧みに融合されており、時代劇の本場であった大映京都撮影所のベテラン監督やスタッフが参加しています。特に、ブルーバック合成を駆使した特撮シーンは見事で、大魔神の迫力やリアリズムが際立っています。また、伊福部昭が作曲した音楽も印象的で、大魔神のテーマ曲は三音階から成るシンプルながら重厚な旋律です。

大魔神役のスーツアクターは、元プロ野球選手の橋本力で、血走った目や動きで大魔神の存在感を表現しています。

『大魔神』は、その後も『大魔神怒る』『大魔神逆襲』と続編が作られましたが、それぞれ独立したエピソードを持ちます。共通するテーマは、悪人に対する報復と正義の勝利です。しかし、その報復は過剰で残虐であり、正義も相対的であることを示唆しています。また、魔神は人間の感情や理性を持たない存在であり、人間との関係性は曖昧です。魔神は民衆を救うために動くのか、それとも自分の怒りを発散するために動くのか。魔神は民衆に感謝されるべきなのか、それとも恐れられるべきなのか。このような問いかけが、この映画の深みを生み出しています。

大魔神像
大魔神像 2017年4月京都太秦大映通りで撮影

4Kリマスター化され劇場公開された

2002年にKADOKAWAに経営譲渡された大映ですが、往年の名作を4Kリマスター化し、『大映4K映画祭』として同年1月6日より順次公開されています。

詳細は公式サイトでご確認ください。

大映4K映画祭|トップ
大映4K映画祭

では、『大魔神』シリーズ各話のストーリーを紹介していきましょう。

『大魔神』1966年4月17日公開

『大魔神』あらすじ

丹波の国の領主・花房忠清は、平民と共に平和に暮らしていましたが、家老の大館左馬之助に裏切られて殺されてしまいます。幼い息子の忠文と娘の小笹は、家臣の猿丸小源太に連れられて逃げ出します。途中で出会った巫女・信夫に助けられた三人は、山奥にある魔人像の神殿に隠れることになります。

魔人像は、かつてこの地を荒らした魔人を封じ込めたもので、民衆からは守護神として崇められていました。しかし、左馬之助は魔人像を目障りだと考えて破壊しようとします。信夫はそれを止めようとしますが、左馬之助に刺されて死んでしまいます。そして、左馬之助の手下たちは魔人像に金槌や杭を打ち込みますが、その時魔人像から血が流れ出します。

やがて10年が経ち、忠文と小笹は成長していました。忠文は父の仇を討つために城へ向かおうとしますが、小源太は先に行って情報を集めることにします。しかし、小源太は左馬之助の配下に捕まってしまいます。そのことを知った忠文も城へ乗り込みますが、罠にかかって捕らわれてしまいます。

左馬之助は忠文と小源太を処刑しようとしますが、その時空から光の玉が降りてきます。それは魔人像が巨大な守護神・大魔神に変身した姿でした。大魔神は激しい怒りで左馬之助の手下たちを次々と殺し、城や町を破壊していきます。忠文と小源太は大魔神によって救われます。そして、左馬之助は大魔神が額から抜いた杭で貫かれて死んでしまいます。

すべてを滅ぼした大魔神は立ち止まります。小笹は涙ながらに大魔神に感謝し、怒りを静めて欲しいと願います。小笹の涙が大魔神の足元に落ちると、大魔神は粉々に崩れて光の玉となって空へ飛んでいきます。

【大映4K映画祭/大魔神】特別映像

『大魔神』の見どころ

『大魔神』のみどころは、何といっても大魔神の迫力ある姿とその破壊力です。大魔神は、高さ18メートル、重さ50トンの巨大な石像で、顔は仏像のように穏やかですが、目が開くと怒りの表情に変わります。大魔神は、手に持った剣や斧で敵を切り裂いたり、火や雷を放ったりして、容赦なく悪者たちを滅ぼします。特撮技術が発達した現代から見ても、大魔神の動きや表情はリアルで迫真的です。また、大魔神が暴れるシーンでは、城や町などのセットが精巧に作られており、その破壊描写も見応えがあります。

『大魔神』は、単なる怪獣映画ではありません。時代劇としても優れており、農民たちの苦しみや抵抗、少年の成長や信仰など、人間ドラマが丁寧に描かれています。また、大魔神は、ただの正義の味方ではなく、自分の意思を持った存在です。大魔神は、少年の願いに応えて悪者たちを倒す一方で、農民たちにも恐怖を与えます。大魔神は、人間の善悪に関係なく自然の摂理に従って行動するという設定で、その不可解さや畏怖感が作品に深みを与えています。

『大魔神』は、時代劇と怪獣映画の融合という斬新なアイデアと、優れた特撮技術と人間ドラマで観客を魅了した名作です。大魔神の圧倒的な存在感とその行動原理について考えることで、人間と自然の関係や信仰心などについても考えさせられる作品です。

『大魔神怒る』1966年8月13日公開

『大魔神怒る』あらすじ

八雲という名の湖に恵まれた地方には、千草家と名越家という二つの国がありました。両家は同族で仲が良く、湖の中に浮かぶ神之島にある巨大な武神像を神として信仰していました。

しかし、その平和は隣国の御子柴家によって破られます。御子柴家は千草家を襲撃し、若き領主・十郎を追い詰めます。十郎は家臣の助けでなんとか逃げ延びますが、御子柴家は次に名越家を攻め落とし、領主・兵衛を殺害し、その息子・勝茂を人質にします。そして、十郎をおびき出すために、武神像を爆破して破壊します。

十郎は名越家の娘で許嫁の早百合と共に神之島に潜伏していましたが、御子柴家に見つかります。早百合は見せしめに火あぶりにされそうになりますが、その時、湖が割れて大魔神が現れます。大魔神は早百合を救い出し、御子柴家の兵士たちを次々と殺していきます。最後には御子柴家の城も砕き、平民たちを苦しめた悪人どもを全滅させます。そして、早百合の涙によって怒りが鎮まり、大魔神は再び眠りにつきます。

『大魔神怒る』の見どころ

この映画の見どころは、やはり大魔神の登場シーンです。湖が割れて現れる大魔神は、まるでモーゼの十戒のような壮大な光景です。大魔神は、御子柴らの兵士や城を容赦なく破壊し、圧倒的な力を見せつけます。しかし、大魔神はただ暴れるだけではなく、早百合という純真な少女の祈りに応えて彼女を救うという一面も持っています。早百合の涙が大魔神の足に落ちると、大魔神は粉々に崩れて消え去ります。このシーンは、大魔神が人間の心にも触れる存在であることを示しています。

また、この映画は時代劇としても見応えがあります。名越兵衛や千草十郎といった正義感あふれる人物や、御子柴弾正や荒井一角といった悪辣な人物が登場し、戦国時代の世界観を描きます。特に名越兵衛は、息子や娘を人質にされても千草十郎を裏切らずに死んでいくという忠義の人です。彼の死に様は感動的です。また、千草十郎や早百合も勇敢に戦い、苦難を乗り越えます。彼らの姿は見ていて応援したくなります。

このように、「大魔神怒る」は特撮と時代劇の要素を見事に融合させた映画です。大魔神シリーズの中でも最高傑作と言われることも多い作品です。今でも色あせない映像美やドラマティックなストーリーに引き込まれます。

【大映4K映画祭/大魔神怒る】特別映像

『大魔神逆襲』1966年12月10日公開

『大魔神逆襲』あらすじ

戦国時代、瓜生の里の武将・荒川飛騨守は近隣諸国の制覇を目指し、火薬製造を思い立つ。近隣の村から木こりたちをさらって地獄谷と呼ばれる硫黄の沼地で強制労働させますが、その道中には荒神が眠ると言われる魔の山がありました。

村に帰ってきた一人の木こりがそのことを告げると、村人たちは救出作戦を考えますが、誰も魔の山には近づけません。そこで立ち上がったのは、父や兄をさらわれた少年たちでした。鶴吉、大作、金太、杉松の4人は魔の山に向かう決意をします。

魔の山に入った彼らは、荒神様と呼ばれる大魔神の像に出会います。彼らは大魔神に祈りを捧げますが、その頃地獄谷では荒川飛騨守が木こりたちを虐待し続けていました。脱走者は硫黄の沼に落とされ殺されるという恐怖におびえていました。荒川飛騨守は魔の山から脱走者が来ていると知り、追っ手を送ります。追っ手と対峙した少年たちは危機に陥りますが、そこに大魔神の使いとされる鷹が現れて助けてくれました。しかし鷹は負傷して死んでしまいます。その時、大魔神の像からも血が流れ出しました。それは大魔神が目覚めようとしている兆候だったのです。

少年たちは地獄谷に到着し、家族や仲間と再会します。しかし荒川飛騨守は彼らを捕まえようとします。そこに大魔神が現れます。大魔神は荒川飛騨守やその兵士たちを次々と倒していきます。城も破壊し、最後に荒川飛騨守を剣で刺して殺します。少年たちは大魔神に礼を言ってお祈りすると、大魔神は粉々になって消え去りました。

【大映4K映画祭/大魔神逆襲】特別映像

『大魔神逆襲』の見どころ

この作品のみどころは、何といっても主役の子供たちと大魔神の関係です。子供たちは、木こりの村に住む仲良しの四人組で、隣国の悪徳領主にさらわれた父親や兄たちを救うために、恐ろしい魔神が住む山を越えて城に向かいます。その途中で、彼らは魔神像に祈りを捧げるとともに、魔神の使いとされる大鷹と出会います。この大鷹が、子供たちと大魔神を結びつける重要な役割を果たします。

一方、大魔神は、子供たちの純真な心に応えて目覚めますが、その姿は凄まじいものです。巨大な石像から変身した大魔神は、雷や火を操りながら城に向かい、悪徳領主やその手下たちを容赦なく粉砕していきます。その圧倒的なパワーと怒りは、見る者に強烈なインパクトを与えます。

この作品は、時代劇と特撮の融合という斬新な試みであり、当時の技術や予算の限界を超えた映像表現が試みられました。特に、雪山や硫黄沼などのロケーションやセットは見事であり、子供たちや大魔神の動きも迫力があります。また、音楽も伊福部昭の壮大なスコアが作品の雰囲気を盛り上げています。

『大魔神逆襲』は、子供たちの勇気と友情、そして大魔神の正義と憤怒が描かれた感動的な作品です。

『大魔神逆襲』は子供が主役、マグマ大使ガム役の二宮秀樹が出演

三部目の『大魔神逆襲』は子供が主役になっています。

主役を演じたのは当時のテレビ番組『マグマ大使』でガムを演じていた二宮秀樹。
本作出演のため4話分を欠席し、吉田次昭が代役を務めています。

当時、『マグマ大使』 は『ウルトラマン』と共に怪獣ブームを作った番組であり、僕も夢中で観ていました。
ガム役が途中で代わったことに違和感を覚えた記憶があります。
『大魔神逆襲』に出演のためというのはずっと後で知ったことです。
当時は病気で休んでいたという噂が飛んでいたような記憶があります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ファンタジー時代劇映画昭和の名作邦画
スポンサーリンク
スポンサーリンク
kusayan.comをフォローする
スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました