年齢よりずっと若く見える中高年女性を”美魔女”と呼んだりします。
Wikipediaによれば”美魔女”という言葉は”光文社が発行するファッション雑誌『美STORY/美ST』による日本語造語。才色兼備の35歳以上の女性を指し、「魔法をかけているかの様に美しい」ところからきている”とのこと。
上述した『美ST』が企画している『国民的美魔女コンテスト』なる催しもあり、今や歳より若く見えること、歳を取らないことはすべての女性の願望でもあるようです。
歳を取れない女性を主人公にした作品
今回紹介する『アデライン、100年目の恋』はまさに歳を取らない女性を主人公とした作品ですが、歳を取らないではなく、歳を取れなくなったアデライン・ボウマンという名の女性のお話です。
交通事故が原因で身体に変化が起こる
ブレイク・ライヴリーが演じるアデラインは娘が待つ自宅へ帰る途中、雪で車がスリップし、崖下へ転落。車は冷たい川の中で転覆し、彼女の身体は冷たい水に浸され低温仮死状態に。そこへ落雷が車を直撃。彼女の身体に何億ボルトという電気が流れたことで蘇生します。しかし、その影響で彼女の身体のDNAが異常をきたし、老化することを止めてしまったのです。
歳を取らないことはいいことなのか?
40代頃までは周囲からは羨ましがられるだけでしたが、さらに年齢を重ねるうちに周囲から怪しまれるようになり、ついにはCIAからも目を付けられるようになってしまいます。追われる身となった彼女は定期的に住む場所と仕事、さらに名前までも変えざるを得なくなるのです。
彼女は美貌であるが故に様々な男性からのアプローチを受けます。彼女の夫は彼女がまだ正常だった頃に死別していて、恋愛は自由なはずなのですが、自身に起きている身体の異常を隠すためにアプローチはすべて拒否してきました。
いつまでも若くても恋ができないんじゃ辛いだけ。相手にも悪い。彼女は恋をするたびに、相手から離れ、別の地へ逃れていたのです。
いつまでも若くいたい。ほとんどの女性はそう思っているでしょう。でも人間の身体は老いていくように仕組まれているのです。周囲の環境もあなたが老いの合わせて移り変わっていくのです。
あなたの最愛の人が老いていくのに、自分だけは若いままだったら、いずれ釣り合わなくなってしまいますし、夫であれ、子供であれ、友人であれ、いつか先に死を迎え、辛い別れをしなければならなくなります。
歳を取らないことはいいことばかりではなく、むしろ辛いことの方が多いですね。
100年目の恋、それが彼女にとって最後の恋に
今はジェニーという別名を使うアデライン。友人の招きで年越しパーティに参加。そこでミキール・ハースマン演じる青年エリス・ジョーンズと出会います。エリスからのしつこいくらいのアプローチを始めのうちはかわしていましたが、やがて受け入れることに。彼女の100年目の恋です。
運命の再会、そして素性がバレて
彼の両親の結婚記念日に招待された彼女はそこで運命的な再会を果たします。
ハリソン・フォード演じるエリスの父親ウィリアムはかつて彼女が真剣に付き合っていた元カレだったのです。
実は僕は本作にハリソン・フォードが出演していることを知らなかったのであります。ハリソン・フォードが画面に出てきたとき、あっ、これ先に出てきた回想シーンの元カレなのでは?と勘づいてしまった。勘は見事に的中だったのであります。
ウィリアムは彼女を見るなり、驚いた表情で「アデライン・ボウマン・・・」と呼びかけます。
彼女は咄嗟にアデラインは自分の母親だと嘘を付きます。
若き頃の恋人だった女性が40数年経った今でも若いままの容姿だなんてあり得ない、と彼は納得しますが、それでも瓜二つの姿に疑念は晴れませんでした。
しかし、かつて自分が手当てしたジェニーの掌の傷を見つけたウィリアムは、彼女がアデライン・ボウマンであることを確信し、彼女も自分に起きた不可解な症状を打ち明け、かつて彼を捨てた本当の理由を話します。
すべてを理解したウィリアムはアデラインに「頼む、どこにも行かないでくれ。息子のために。もうこの辺で失われた人生を取り戻せ」と告げます。
このシーンが一番の感動。この辺の展開はお決まりのパターンだけど、観ている方もなんか納得して安心してしまいますね。やっとわかってくれたみたいな。今度こそ幸せになれるよ、なんて。
素性がバレてしまったアデラインは逃げるようにエリスの家を後にし、車を走らせます。しかし、もう逃げることはしない、と娘に誓っていた彼女は途中で思い直し、引き返そうとします。眩い光が照らしたと思った瞬間、トラックに激突、彼女が乗った車は道路脇へ。そして、車から投げ出された彼女は雪が降る冷たい外気に包まれ、瀕死の状態となります。かつて自分の身体に変化が起きたときと同じように。
と、ここで物語が終われば、本作は悲しい悲しい恋の物語となるわけなんですが、そうではなく、ここからが本作のさらなる見せ場となります。
彼女の後を追いかけてきたエリスが蘇生を試みるも彼女は息を吹き返しませんでしたが、救急隊のAED治療でやっと息を吹き返しました。
しあわせを掴み、さらに元の身体に戻る
病院のベッドでエリスに自分の素性を打ち明けたアデライン。彼も彼女のすべてを受け入れます。
結婚1年が過ぎ、パーティに向かう晴れ姿を鏡に映した彼女。そのときブロンドの髪の中にあった白い髪を見つけます。引き抜いた白髪を見つめた彼女は、自分の身体が歳を取る正常な身体に戻ったことを知るのです。鏡の前でほほ笑みは希望に満ちていました。
彼女の身体が元に戻った原因は救急隊が行ったAED治療で、身体に大きな電流が流れたことでDNAの機能が正常に戻ったため。
アデラインは100年目の恋でやっと幸福を掴むことができたのでした。
本作は誰もが観た後に幸福な気分にさせることができる作品です。
アデライン役はキャサリン・ヘイグル、ナタリー・ポートマンとキャスティングが変更になっていて、最終的にブレイク・ライヴリーに決まったようです。
個人的にはブレイク・ライヴリーで正解だったと思います。彼女の凛とした美しさはアデラインそのもの。
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