Netflixで2022年10月7日から配信された『オールドピープル』。
2022年ドイツで製作されたNetflixオリジナル作品で、原題もそのまま『Old People』=「老人」です。
老人がテーマの作品なら、老いた主人公が残りの人生を愛おしむ様子を描いた美しい人生謳歌ドラマのように思われるでしょう。
Netflixの公式サイトの短い紹介文では
妹の結婚式を間近に控えた女性は、2人の子供を連れて故郷へと向かう。その先に、冷酷な殺人鬼と化した老人たちとの命がけの戦いが待ち受けているとは夢にも思わずに。
https://www.netflix.com/jp/title/81217751
“冷酷な殺人鬼と化した老人たちとの命がけの戦い”とあるように本作はホラー作品となっています。
老人が殺人鬼となる?どんなホラー作品なのか早々鑑賞してみました。
リアルに怖い
鑑賞した感想は・・・「怖い・・・」の一言。本当に怖いです。どんな怖さかというと、リアルな怖さかな。
殺人鬼となる老人たちはどこにでもいそうな方たちばかり。でもみんな無言なんですよ。無言で恨めしそうに一点を見つめている。
老人たちは施設に入れられ、家族は数年に一度くらいしか訪ねて来ない。彼らの世話をしているのは施設の職員のみ。
家族に見捨てられ、愛情を受けられなくなった彼らは感情を失ったかのように無表情で、何も語らない、というより会話する気力を失ってしまったようなのです。
では本作のストーリーを簡単に解説していきましょう。まずはNetflixの公式予告編をご覧ください。
開始早々から老人がヘルパーを惨殺
冒頭から恐怖のシーンで始まります。薄汚れたアパートに住む老人を若い女性ヘルパーが訪問するのですが、その老人にいきなりボンベで撲殺されてしまうのです。そして、ヘルパーを撲殺した老人は窓から顔を出し、闇夜の街に雄叫びを上げるのです。狼男を彷彿させる恐怖のシーン。
娘の結婚式を挙げるために故郷の村へ帰省する家族
本作の主人公となる家族たちは娘の結婚式のために故郷へ帰省。そこには施設に入れた老いた父親が住んでいて、彼にも出席してもらうために故郷の地で結婚式を開催することになったのです。
車で故郷の地に入った家族たち。今、この地には老人しかいないようで、彼らは老人たちから訝し気な視線を向けられます。
到着した家族たちは施設にいる父親を訪問しますが、父親は家族と久しぶりに会ったのに、無表情のままです。ボケてしまったのか、どこか空を見つめる視線。
華やかな結婚式を見つめる老人たち
日が暮れて、披露宴が華々しく開催されました。音楽に合わせて踊り狂う参加者たち。その様子を施設の老人たちが無表情で見つめていました。
施設の職員が老人たちになぜ一部屋に集まって外を見ているのか?と尋ねた時、ひとりの老人の男が立ち上がり、職員を刺し殺してしまうのでした。
この男が老人たちのリーダー格のようで、老人くせにやたら腕っぷしが強いんです。この男を中心に老人たちは次々に帰省者たちを殺戮していくのです。
特にエグイシーンが結婚式の主役である娘とその夫。ベットで初夜を営んでいたところをリーダー格の老人に襲われ、まず夫は鉄球で頭を割られ、次に娘に覆い被さりゲロを浴びせます。(このシーンは本当に生理的に気色悪い)彼女は階下へ逃げようとしますが、男に鉄球をぶつけられ瀕死の状態となります。最後に口へ靴下を詰められ窒息死させられてしまいます。本当に悍ましいシーンです。
家族から見捨てられた孤独から狂気に陥る
なぜ老人たちが来訪者たちを襲ったのか?
寡黙な老人たちの口からその理由が語られることはありませんが、様々なシーンから推測するに、家族から見捨てられた彼らは長い孤独の時間を過ごすうちに狂気に陥っていったのではないでしょうか。
狂気に陥った彼らの行動は悪魔のようであり、まるでゾンビ作品を観ているような感覚させられます。彼らはまだ生きている人間であり、死から蘇ったゾンビではありません。
高齢化社会への警鐘
世界の先進国は少子化が進み高齢化社会へ向かっています。特に日本は世界有数の高齢化先進国です。
下の画像は2021年7月時点の日本の年齢層別人口を表した人口ピラミッドです。45歳以上の人口が多く、高齢化に進んでいる状況となっています。
1950年から2060年の年齢人口推移で、2025年以降はこのままの出生率だとした場合の見込み数値です。棒グラフの緑色が65歳以上の高齢者と呼ばれる年齢層で、将来64歳以下の人口が減っても高齢者数は減らず、高齢化社会が続いていきます。
『オールドピープル』はドイツ製のフィクションですが、舞台となった村の様子は近い将来の日本の姿となるのかもしれません。
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