イタリア映画「丘の上の本屋さん」:本と人をつなぐ優しい物語

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イタリア映画「丘の上の本屋さん」(原題:Il diritto alla felicità、英題:The Right to Happiness)は、2023年3月3日に日本で公開された、心温まるヒューマンドラマです。監督はクラウディオ・ロッシ・マッシミ。舞台はイタリア中部アブルッツォ州にある「イタリアの最も美しい村」の一つ、チヴィテッラ・デル・トロント。美しい風景と素朴な人々の暮らしの中で、古書店の店主と移民の少年が「本」を通じて絆を深めていく姿を描いたこの作品は、観る者の心に静かに染み入る感動を残します。今回は、この映画の魅力や見どころ、そしてそのテーマについて、たっぷりと語っていきたいと思います。

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あらすじ:本が紡ぐ友情の物語

『丘の上の本屋さん』予告編

物語の中心は、丘の上にある小さな古書店を営む老人、リベロ(レモ・ジローネ)と、ブルキナファソからの移民である少年エシエン(ディディー・ローレンツ・チュンブ)です。リベロは、イタリア語で「自由」を意味する名前の通り、穏やかで心の広い人物。ある日、彼は店の外で本をじっと見つめるエシエンに声をかけます。本を買うお金がない少年に興味を持ったリベロは、コミックから児童文学、さらには長編小説まで、店の本を次々と貸し与えることに。読書に目覚めたエシエンは、リベロと本の感想を語り合う中で、言葉や文化の壁を超えた友情を築いていきます。

一方で、古書店には個性豊かな常連客たちが訪れます。初版本にこだわる収集家や、ゴミ箱から拾った本を売りに来る移民の男、隣のカフェで働く若者ニコラ(コラード・フォルトゥーナ)など、彼らの何気ない日常が物語に彩りを添えます。派手な展開はないものの、暖かな日差しと人情に溢れたこの小さな世界は、観ているだけで心が穏やかになるような魅力に満ちています。

映像美とチヴィテッラ・デル・トロントの魅力

まず特筆すべきは、この映画の映像美です。チヴィテッラ・デル・トロントは、石畳の道と古い石造りの家々が連なる風光明媚な村で、その頂上には歴史ある城塞がそびえます。映画では、この村の風景がふんだんに映し出され、柔らかな陽光に照らされた丘の景色が観る者を引き込みます。イタリア映画特有の色彩感覚と、光と影のコントラストが美しい画面は、まさに「イタリア映画ってなんでこんなに綺麗なんだろう」と感じさせるもの。日常の何気ないシーンでさえ、まるで絵画のように見える瞬間が多々あり、視覚的な満足感も大きい作品です。

この美しい舞台設定が、物語の穏やかなトーンと絶妙にマッチしています。リベロが店を開けるために石畳を歩く姿や、エシエンが本を抱えて丘を駆け下りる場面は、まるで時間がゆっくりと流れるような感覚を与えてくれます。観光地としても知られるこの村を訪れたくなる気持ちが湧いてくるのも、この映画の隠れた魅力の一つかもしれません。

テーマ:読書の喜びと「幸せになる権利」

映画の中心的なテーマは、「本を読むことの素晴らしさ」と「誰もが幸せになる権利を持っている」というメッセージです。リベロはエシエンに本を貸すだけでなく、その感想を聞きながら知識や視点、考え方を伝えていきます。コミックから始まり、次第に児童文学や古典へとステップアップしていくエシエンの読書遍歴は、観る者に「本が人を育て、世界を広げる」ということを実感させます。

特に印象的なのは、リベロがエシエンに語る言葉。「持ち主が変わり、新たな視線に触れるたび、本は力を得る」というフレーズは、本が単なる物ではなく、読者との関係の中で生き続ける存在であることを示しています。また、劇中で登場する「ブックリスト」には、誰もが知るような名作が含まれ、観た後に「もう一度読んでみようかな」と思わせる効果もあります。実際、映画の公式サイトではこのリストが公開されており、読書への愛情がさらに深まる仕掛けとなっています。

そして、もう一つのテーマである「幸せになる権利」は、リベロとエシエンの会話に散りばめられています。移民として異国で暮らすエシエンにとって、本は新しい世界への扉であり、リベロとの交流は居場所を与えてくれるもの。リベロの名前「自由」が象徴するように、彼はエシエンに自由に生きること、そして幸せを追求する権利があることを静かに伝えていきます。この優しいメッセージが、映画全体を温かく包み込む核となっています。

キャラクターと演技の魅力

リベロを演じるレモ・ジローネは、『フォードvsフェラーリ』などでお馴染みのベテラン俳優。その落ち着いた佇まいと柔和な表情が、思慮深くもユーモラスな古書店主を見事に体現しています。一方、映画初出演のディディー・ローレンツ・チュンブが演じるエシエンは、好奇心旺盛で表情豊か。子役とは思えない自然な演技で、観る者の心をつかみます。特に、本を読んで目を輝かせるシーンや、リベロと語り合う時の純粋さが印象的で、「彼なくしてこの映画は成り立たない」と感じさせるほどです。

脇を固める常連客たちも個性的で、彼らの掛け合いが物語に軽妙なリズムをもたらします。たとえば、隣のカフェの店員ニコラは、リベロの店番をしながらもどこか抜けた雰囲気を持っていて、クスッと笑える場面を提供。こうした小さなユーモアが、映画全体の温かさをさらに引き立てています。

感想:静かな感動と読書欲をかきたてる一本

この映画を観終わった後、まず感じたのは「じんわりとした幸福感」です。派手なドラマやスリリングな展開はないものの、日常の中で小さな幸せを見つけていく登場人物たちに寄り添ううちに、自然と心が満たされていく感覚がありました。特に、本を通じて人と人がつながる様子は、現代の忙しない生活の中で忘れがちな「ゆっくりと味わうこと」の大切さを思い出させてくれます。

また、個人的には読書欲が強く刺激されました。エシエンが本に夢中になる姿を見て、「自分も何か本を読みたい」と久しぶりに感じたほど。映画の中でリベロが貸し与えた本のリストをチェックしながら、次に読む本を考えるのも楽しい時間でした。本好きにはたまらない一本であると同時に、本にあまり触れていない人にもその魅力を伝えてくれる作品だと思います。

まとめ:心のオアシスとなる映画

「丘の上の本屋さん」は、84分という短めの runtime ながら、深い余韻を残す映画です。美しいイタリアの村を舞台に、読書の喜びと人間の優しさを描いたこの作品は、忙しい日常の中でほっと一息つきたい時や、自分を見つめ直したい時にぴったり。ユニセフ・イタリアが共同製作に参加していることもあり、移民や多文化共生といった現代的なテーマもさりげなく織り込まれていますが、それが押し付けがましくないのも好印象です。

もしあなたが、イタリア映画の美しさや本の力を感じたいなら、ぜひこの映画を観てみてください。そして、観終わった後に本を手に取って、誰かと感想を語り合う。そんな時間が生まれたら、まさにリベロとエシエンのような素敵な瞬間が、あなたの日常にも訪れるかもしれません。

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