変身人間シリーズの番外編
『マタンゴ』は東宝円谷プロの変身人間シリーズ3部作の番外編として製作された作品。
1963年8月に劇場公開されたので僕は劇場では観ていないし、たぶんテレビ放送でも観ていなかったように思います。
当時は2本同時上映が普通で、本作と同時上映されたのが<加山雄三主演『ハワイの若大将』。
若大将シリーズは東宝怪獣映画の同時上映で観た記憶があり、テレビ放送でもよくやっていました。
一昨年、WOWOWで若大将シリーズ全作品一挙放送があって、全部BD-Rに保存しました。
これから少しづずつ見直しして、当ブログでレビューしてみようと思っています。
原作はウィリアム・H・ホジスンの海洋綺譚「夜の声」
さて『マタンゴ』ですが、変身人間シリーズの中で本作が一番観たくてTSUTAYAで一番先にレンタルしました。
本作を鑑賞後、本シリーズ3部作をレンタルして観ました。
ウィリアム・H・ホジスンの海洋綺譚「夜の声」が原作とのことで、変身人間シリーズの中では唯一原作があることになります。
監督は本多猪四郎、円谷英二のコンビ
監督は東宝怪獣シリーズではお馴染みの本多猪四郎、円谷英二のコンビ。
物語は病院に収容された青年の告白から始まります。
豪華ヨットでクルージングに出かけた男5人と女2人。
嵐に会って、無人島に漂着。無人島にはカビとキノコくらいしか生えておらず、持ち合わせていた食料もわずか。島で発見した難破船の中で飢えに苦しむ7人はやがて仲間割れしていく。
夜な夜な島の奥からキノコのような姿をした怪物が現れ、7人に襲い掛かる。
難破船に残された手記には「キノコを食べるな」と記されていたが、飢えに苦しむ彼らは1人また1人とキノコに手を出し、自ら怪物に化してゆくのである。
7人のうち唯一島から脱出できた青年。彼は病院に気がふれた患者として収容されてしまう。
「戻ってきて、気違いにされるくらいなら、あの島でキノコの怪物になって、恋人と暮らした方がマシだった」と呟いた青年の顔からはキノコが生えだしていた。
無人島でキノコの怪物に襲われるというただそれだけのお話なのですが、
キノコの怪物が徐々に姿を現してくる展開や怪物になりかける人間の異様な姿が気味悪いです。
また飢えに苦しみ始めた7人の若者たちが徐々にエゴを出してきて仲間割れしていく過程がよく描かれています。
絶対にキノコには手を出さないと誓っていた青年が、ラストでキノコに変身。
結局飢えには勝てなかった人間の弱さを表現しているオチが効いています。
あと特筆すべきなのが、キノコの怪物「マタンゴ」の声。ウルトラマンの宿敵であるバルタン星人の声です。本作で創られた怪物の声がバルタン星人に流用されたのですね。
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