61年前の日本産SF作品だけど今でも見応えがある秀逸なストーリー~宇宙人東京に現わる

2017年5月19日から公開された『メッセージ』は異星人=侵略者というイメージを覆し、異星人を人類の味方として描いていました。
実は日本でも62年前の1956年に異星人を人類の味方として描いた作品が公開されています。
今はなき大映で製作された『宇宙人東京に現わる』です。
監督は俳優から監督業に転身した島耕二
人情ものから空想ものまで様々なジャンルの作品を精力的に撮ってきた監督です。
ストーリーを超簡潔に説明すると、
ある日、東京上空にUFOが頻繁に飛来するようになる。
UFOはパイラ星人のもので、彼らは地球人に原水爆の開発をしないように警告に来ていたのである。
日本人に接触をしてきたのは、日本が世界で唯一の被爆国であることから。
原水爆を開発している国に警告をしても聞き入れられないからだ。
パイラ星人はヒトデのような姿をしていて、東京の各地に姿を現すのだが、みんな驚いて逃げてしまう。
ヒトデの姿のままでは意思を伝えられないと、彼らは人気ダンサー・青空ひかりの姿に変身して人間とコンタクトを取ろうとする。
ヒトデ型宇宙人のデザインは岡本太郎。万博の太陽の塔のデザインをした方です。
このヒトデ型宇宙人は人間を”顔に出っ張りがある醜い生き物”と認識しているところが面白いですね。人間の価値観では彼らの方が思い切り気持ち悪いのに。
パイラ星人の代表が青空ひかりに変身していくシーンは粘土の造形と顔写真をコマ送りで簡単なトリック映像ですが、陳腐感を感じない出来栄えです。
美女に変身したパイラ星人は科学者・松田の家に潜り込むことに成功。松田が開発した原水爆以上の破壊力を持つ元素「ウリウム101」の元素記号を書いたメモを破ってしまう。
かつてパイラ星でも同じ元素を開発した科学者がいたが、あまりの破壊力に恐れて、すべての情報を破棄した経緯があった。その後、別の平和利用できる元素を開発し、パイラ星の科学は飛躍的に進歩した。
パイラ星人は友好を示す印として、近いうちに地球に新天体Rが衝突するという情報を提供する。
それを知った科学者たちは国際会議に、各国が所持している原水爆を新天体Rを破壊するために使用することを提案するが、真偽が疑わしい情報のため提案は却下されてしまう。
刻々と地球に近づく新天体R。
原水爆が使えなくても、日本には松田が開発した「ウリウム101」がある。
しかし、松田は「ウリウム101」の存在を知った武器商人に捕まり、廃墟ビルに監禁されてしまう。
新天体Rは秒速200キロという猛スピードで地球に近づき、肉眼でも確認できるところまで接近。やっと原水爆所持国は動き出し、新天体Rに向かって原水爆を搭載したロケットを打ち込むが、新天体Rはびくともしなかった。
頼みは松田が開発した「ウリウム101」だけ。
地上が新天体Rの熱による影響を受け、熱波、大津波、暴風の被害を受け始めた中、パイラ星人が現れ、松田を助けに向かう。
特撮はのちに円谷プロのウルトラQで特撮を手掛けた的場徹が担当。新天体Rの熱によりビルが破壊されるシーン、大津波が街を襲うシーンなどの特撮は見応えがあります。
パイラ星人は「ウリウム101」から超破壊爆弾を作り、新天体Rに向けて、宇宙船からミサイルを発射。新天体Rは爆弾の威力により粉々に砕け散った。
松田の開発した元素とパイラ星人の科学の力により地球は救われたのである。
友好的な異星人の設定は、1951年に公開されたアメリカ映画『地球が静止する日』の影響を、天体が地球に衝突するのは『地球最後の日』の影響を受けていますが、
被爆国である日本の核兵器廃絶の理想が織り込まれています。
『メッセージ』で描かれていた醜い姿だけど友好的な異星人や核兵器に対する社会情勢などの設定は、61年前にすでに日本で映画化されていたのです。

 

 

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ブロガー、ライター、フォトグラファー 滋賀県大津市在住 滋賀県、京都を中心に活動中

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