女性兵士が戦う実話を元にした二つのロシア製戦争映画

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事は約5分で読めます。
スポンサーリンク

イラクのクルド人自治区でISと戦った女性戦士を描いた『バハールの涙』を鑑賞してから、戦時下で戦う女性の映画に興味を惹かれるようになりました。

以前、WOWOWで放送されていて録画したままになっていた『ロシアン・スナイパー』、『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』があったのを思い出し、まだレーベル印刷もできていない状態の録画済BD-Rを引っ張り出して鑑賞しました。

二つの作品共にロシア製作映画で、『ロシアン・スナイパー』は1941年~1942年頃の第二次世界大戦時、『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』の方は1917年~1918年頃の第一次世界大戦時を背景とし、ロシア西部辺りが戦闘の舞台となっています。いずれも敵国はドイツですが、『ロシアン・スナイパー』の方はナチス・ドイツが敵となります。

二つの作品共に実話を元にしており、それも女性兵士が主役となっていて、男ばかりが登場する戦争映画とは一味違う雰囲気。本当に女性が兵士で大丈夫なの?なんて余計な心配をしながら観てしまいました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

『ロシアン・スナイパー』(2015年)

原題は『Battle for Sevastopol』(セヴァストポリの戦い)。

「セヴァストポリの戦い」とは1941年9月から1942年7月にかけてのクリミア半島とセヴァストポリ要塞をめぐる枢軸国軍とソ連軍の戦闘のことですが、本作はこの戦いを主軸にしているのではなく、一人の女性スナイパー(狙撃兵)を主役とし、彼女が狙撃兵になるまでの過程と実戦の数々、やがて国民的な英雄となっていくまでを描いています。
邦題の『ロシアン・スナイパー』の方が本作に合っていますね。

主役は実在の人物リュドミラ・パブリチェンコ

主役である女性兵士リュドミラは第二次世界大戦中にソ連赤軍に実在したリュドミラ・パグリチェンコ。

彼女は女性でありながらナチス兵士309人を射殺し、ソ連邦英雄賞を受賞しています。

演じるのはユリア・ペレシド。本作以外では『Cold Tango』(2017年)、『パーフェクト・ワールド 世界の謎を解け』(2018年)などで日本ではまだ知られていない俳優です。

戦闘だけでなく、恋も描かれる

本作は戦争映画ですが、女性の生涯を描いているだけあって、恋愛要素も盛り込まれています。

恋の相手は上官となる2人の人物。しかし、戦火は容赦なく、彼女の女性としての夢も奪ってしまうのです。

終戦数十年経ったラスト。ルーズベルト大統領夫人に招かれて、息子と二人で演劇鑑賞をするシーンが映し出され、女性としての幸福は掴めたんだな、とほっとしてしまったのであります。

お勧め度:(3.0/5)

『バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍』(2015年)

原題は『Battalion』(バタリオン)。バタリオンとは陸軍の大群を意味するように、本作は第一次大戦下にロシアに実在した女性だけの軍隊である「バタリオン」の活躍を描いた作品です。

邦題には「ロシア婦人決死隊VSドイツ軍」という文字も付けられていますが、これはたぶん、1985年にアメリカで製作されたホラー映画『バタリアン』と区別するための配慮なのかな?原題の『バタリオン』だけだとホラー作品だと思われるかもしれないですからね。

本国ロシアでは2015年に公開されたようですが、日本では2年後の2017年7月に新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」(17年7月15日~8月18日)で上映されています。

カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017
真夏の祭典、映画を極める5週間!50本のシネマたち。カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017オフィシャルサイト。

隊員全員が主役

「バタリオン」部隊の隊長であるマリア・ボチカリョーワが主役となるのでしょうが、一部のメンバーだけに限られますが、隊員ひとりひとりのエピソードも凝り込まれ、隊員全員が主役になっているといってもいいでしょう。

「バタリオン」は1917年のロシアに実在した部隊で、マリア・ボチカリョーワも実在の人物です。

マリア・ボチカリョーワを演じているのはロシア人女優のマリア・アロノバ。とても恰幅の良いおば様隊長を好演しております。

ボチカリョーワは普段はとても厳しく隊員たちに接しますが、内面は女性らしいやさしさを持ち合わせています。所謂、ツンデレタイプ。

母国のために自ら応募した隊員たちの素性は、貴族や学生、労働者など様々。結婚している女性も含まれていて、物語の中盤、彼女たちが戦場へ向かう前日に妊娠が発覚し、除隊するというエピソードも。

どこの国でも男はだらしない

厳しい訓練を耐え凌ぎ、いよいよ実戦に向けて出陣した彼女たちを待ち受けていたのは、戦場でサボタージュを決め込んだ男性兵士たち。彼らは長い戦闘で疲れ果て、戦意を喪失してしまっていたわけなんですね。

彼らの援助を諦めたボチカリョーワは自分たちだけでドイツ軍と戦う決意をします。

絶体絶命で全滅を覚悟したとき、救いが

なんとかドイツ軍から奪われた土地の奪取に成功した彼女たちでしたが、毒ガスで反撃をくらい、絶対絶命の危機に陥ります。

全員が死を覚悟したとき、彼女たちの背後から、彼女たちの活躍に触発された男たちの部隊が援護にやってくるのです。

体制が変わり、英雄が犯罪者に

エンドロールでは当時の実写映像が流され、実在した女性兵士たちの雄姿が映し出されます。そして、1920年、ボチカリョーワは白軍に加担した罪で処刑された、というテロップが流れるのです。

革命によりロシアからソ連へ体制が代わり、彼女が所属していた帝国軍(白軍)は反体制となり、白軍として活躍した彼女は反逆者にされてしまいました。

白であろうと赤であろうと、彼女が国を愛していたことには変わりがない。時代の流れは時には残酷な仕打ちをしてしまうのです。

お勧め度:(3.5/5)

スポンサーリンク
スポンサーリンク
戦争映画洋画
スポンサーリンク
スポンサーリンク
kusayan.comをフォローする
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました