1996年に公開された『ツイスター』と、その続編として2024年に公開された『ツイスターズ』は、巨大竜巻をテーマにしたディザスター映画の傑作です。両作品は、自然の脅威と人間の挑戦を壮大なスケールで描きつつ、時代背景や技術の進化に伴い異なる魅力を持っています。本記事では、両作品の内容と見どころを詳しく紹介し、その魅力を掘り下げます。
『ツイスター』(1996年):竜巻映画のパイオニア
内容
『ツイスター』は、アメリカの竜巻多発地帯「トルネード・アレー」を舞台に、竜巻を追うストームチェイサーたちの活躍を描いた災害映画です。監督は『スピード』のヤン・デ・ボン、脚本はマイケル・クライトン、製作総指揮にはスティーヴン・スピルバーグが名を連ね、当時の最先端VFXを駆使した作品として話題を呼びました。
物語の中心は、気象学者のジョー(ヘレン・ハント)とその夫ビル(ビル・パクストン)。二人は離婚寸前の関係ですが、竜巻の観測装置「ドロシー」を竜巻に投入し、データを収集するプロジェクトで再び協力することになります。ドロシーは、竜巻の内部構造を解明するための画期的な装置で、『オズの魔法使』の主人公ドロシーにちなんで名付けられました。ジョーとビルは、陽気なストームチェイサーチームとともに、予測不可能な竜巻を追いかけ、ライバルチームとの競争や自然の猛威に立ち向かいます。物語は、竜巻の脅威だけでなく、ジョーとビルの関係修復やチームの絆も描き、アクションと人間ドラマを融合させています。
見どころ
- 当時最先端のVFXによる竜巻の迫力
『ツイスター』は、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)によるCGIを活用し、竜巻のリアルな映像を初めて大規模に描いた作品です。牛やタンクローリーが空に舞い、建物が破壊されるシーンは観客に衝撃を与えました。特に、F5級の超巨大竜巻との対決は、まるで怪獣映画のようなスケール感があります。ヤン・デ・ボンのダイナミックなカメラワークも、竜巻の恐怖と迫力を際立たせています。 - 人間ドラマとユーモアのバランス
ジョーとビルの離婚危機や再燃する愛情は、物語に感情的な軸を与えます。チームメンバー、特にフィリップ・シーモア・ホフマン演じるダスティの陽気なキャラクターは、緊迫した状況にユーモアを注入。観客は、竜巻の恐怖にハラハラしながらも、チームの軽快なやり取りに心を和ませられます。 - 『オズの魔法使』へのオマージュ
作品には『オズの魔法使』への参照が散りばめられています。装置「ドロシー」や、ドライブインシアターで上映される『シャイニング』のシーンなど、細かな遊び心がファンにはたまらない要素です。こうした文化的オマージュが、物語に深みを加えています。 - 時代を反映したエンターテインメント
1990年代はVFX技術の進化により、ディザスター映画が再燃した時期です。『ジュラシック・パーク』や『アルマゲドン』と並び、『ツイスター』は自然の脅威をエンターテインメントとして昇華した作品として、当時世界興収約4億9400万ドルを記録する大ヒットとなりました。
評価と影響
『ツイスター』は、批評家から「ストーリーは単純だが、視覚効果とスリルが圧倒的」と評価されました。現代の視点ではCGに粗さを感じる部分もありますが、竜巻の破壊力や臨場感は今なお色褪せず、ディザスター映画の古典として愛されています。Filmarksでの平均スコアは3.4点(レビュー数9884件)と、懐かしさとエンタメ性を評価する声が多いです。
また、本作は「twister」という言葉を竜巻の一般的な呼称として広めるきっかけとなり、文化的にも影響を与えました。
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『ツイスターズ』(2024年):現代的アップデートと新たな挑戦
内容
『ツイスターズ』は、1996年の『ツイスター』の続編として2024年8月1日に公開されたアクション・アドベンチャー映画です。監督は『ミナリ』のリー・アイザック・チョン、製作総指揮にスピルバーグが再び参加し、『ジュラシック・ワールド』の製作陣が最新VFXを駆使して巨大竜巻を再現しました。本作は前作と同じ世界線を共有しつつ、キャラクターやストーリーは一新されたスタンドアローン作品です。
物語の主人公は、気象学者のケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。彼女は過去の竜巻追跡中の事故で仲間を失い、トラウマを抱えながらニューヨークで自然災害予測の仕事に就いています。しかし、故郷オクラホマで史上最大級の竜巻が多発していることを知り、旧友ハビ(アンソニー・ラモス)の依頼で再びストームチェイサーの世界に戻ります。そこには、YouTuber兼竜巻チェイサーのタイラー(グレン・パウエル)が率いるチームがおり、ケイトのチームと競い合いながらも協力して「竜巻破壊計画」に挑みます。この計画は、竜巻に化学物質を注入してその勢力を弱めるという大胆な試みです。物語は、竜巻の脅威、ケイトのトラウマ克服、チームの結束、そしてタイラーとの微妙なロマンスを軸に展開します。
見どころ
- 進化したVFXとリアルな竜巻描写
『ツイスターズ』は、実際の観測データに基づいた竜巻をハリウッドの最新VFXで描き、富士山より高く新幹線より速い「竜巻モンスター」の迫力をスクリーンに映し出します。火柱竜巻や群発竜巻など、多様な竜巻が登場し、車や建物が吹き飛ばされる映像は圧倒的。オクラホマ州での大規模ロケ撮影も、雄大な自然と竜巻の恐怖をリアルに伝えています。観客は、まるで竜巻の中にいるかのような360度のスリルを体感できます。 - 現代的なテーマとキャラクター
本作は気候変動による異常気象の増加を背景に、竜巻の頻発や被害の深刻さを描きます。ケイトのトラウマやタイラーのインフルエンサーとしての側面は、現代の視聴者に共感を呼びます。特に、タイラーがYouTubeでの人気を活用しつつ被災者支援を行う姿は、SNS時代のヒーロー像を反映。ケイトとタイラーのライバル関係から生まれるロマンスも、控えめながら心をくすぐります。 - 『ツイスター』への敬意と進化
前作へのオマージュとして、分析装置が「ライオン」「カカシ」「ブリキ男」と名付けられ、『オズの魔法使』の要素が引き継がれています。クライマックスの映画館でのシーンは、前作のドライブインシアターを彷彿とさせ、ユニバーサルのクラシックモンスター映画が登場する遊び心も。監督リー・アイザック・チョンの繊細な演出は、前作の派手さに加え、キャラクターの内面を丁寧に描き出します。 - チームワークと人間ドラマ
知識も性格も異なる寄せ集めチームが、竜巻という共通の敵に立ち向かう過程は感動的。ケイトのトラウマ克服や、タイラーとハビの友情、チームの絆が物語に深みを加えます。特に、ケイトの母やタイラーの支援活動など、コミュニティの力が強調され、災害時の人間の強さが描かれています。
評価と反響
『ツイスターズ』は、Filmarksで平均スコア3.8点(レビュー数14710件)と、前作を上回る高評価を受けています。観客からは「竜巻の迫力がすごい」「キャラクターの成長が心に響く」との声が多く、映画館での視聴を推奨する意見が目立ちます。一方で、竜巻破壊計画の科学的信憑性に疑問を呈する声や、前作ほどの勢いに欠けると感じる意見も一部あります。
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両作品の比較と魅力の進化
共通点:竜巻と人間の戦い
両作品は、竜巻という自然の脅威を「怪獣」に見立て、ストームチェイサーたちの命がけの挑戦を描きます。『ツイスター』のドロシーや『ツイスターズ』の竜巻破壊計画は、科学を通じて自然を制御しようとする人間の情熱を象徴。スピルバーグの製作総指揮によるエンターテインメント性や、『オズの魔法使』へのオマージュも共通のDNAです。
相違点:時代背景とテーマ
『ツイスター』は、1990年代のVFXブームを背景に、純粋なスリルとエンターテインメントを追求しました。一方、『ツイスターズ』は気候変動やSNS時代を反映し、環境問題や現代的なキャラクター造形に焦点を当てています。ケイトのトラウマやタイラーの社会貢献は、現代の観客に共感を呼び、前作よりも人間ドラマに重きを置いています。
技術の進化
『ツイスター』のVFXは当時革新的でしたが、現代ではやや古く感じられる部分も。対して『ツイスターズ』は、最新技術でリアルかつ多様な竜巻を再現し、IMAXや4D上映での没入感を最大化。オクラホマの広大な風景や竜巻の破壊力は、映画館での視聴に最適化されています。
キャラクターとストーリー
『ツイスター』のジョーとビルは、離婚危機の夫婦という古典的な設定で、ストーリーは竜巻の追跡に集中。『ツイスターズ』のケイトとタイラーは、トラウマやSNS時代の自己表現を背景に、より複層的なキャラクターとして描かれます。チームの多様性やコミュニティの力も、『ツイスターズ』の方が強調されています。
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エンターテインメントとしての魅力
両作品は、竜巻という予測不可能な自然現象をスリリングに描き、映画館での視聴に最適なスペクタクルを提供します。『ツイスター』は90年代の懐かしさと純粋なスリルを、『ツイスターズ』は現代的なテーマと最新技術による没入感を楽しめます。特に『ツイスターズ』は、IMAXや4Dでの上映が推奨され、竜巻の轟音や風を感じながらの体験は圧巻です。
現代社会へのメッセージ
『ツイスターズ』が気候変動や異常気象を背景にしている点は、現代の観客にとって特に響きます。竜巻の頻発や被害のリアルな描写は、自然災害への備えや科学の役割を考えさせるきっかけに。また、チームワークやコミュニティの力が描かれることで、災害時の人間の強さや希望を感じられます。
映画史における意義
『ツイスター』は、VFXの発展とディザスター映画の復興に貢献した作品として、映画史に名を刻みました。『ツイスターズ』は、その遺産を引き継ぎつつ、現代的な視点でアップデートした作品として、新たな世代に竜巻映画の魅力を伝えています。両者を比較することで、映画技術やストーリーテリングの進化を体感できます。
まとめ
『ツイスター』は、竜巻を初めて本格的に描いたパイオニアとして、迫力のVFXと軽快な人間ドラマで観客を魅了しました。一方、『ツイスターズ』は、最新技術によるリアルな竜巻描写と、気候変動や現代的なキャラクターを融合させ、新たなディザスター映画の形を提示。両作品は、時代を超えて自然の脅威と人間の挑戦を伝え、映画館でのスリルと感動を提供します。
『ツイスター』を懐かしむもよし、『ツイスターズ』で最新の映像体験に浸るもよし。どちらも、竜巻の恐怖と人間の情熱が交錯する、忘れられない映画体験を約束します。ぜひ、その迫力を体感してください!
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