勝新太郎だけじゃない!他の俳優が演じた「座頭市」映画たち

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時代劇ファンなら誰しもが知っている盲目の居合いの達人、「座頭市(ざとういち)」。その代名詞とも言える存在が勝新太郎であることは言うまでもありません。1962年に公開された第一作『座頭市物語』を皮切りに、勝新は映画26作、テレビシリーズ100話以上にわたって市を演じ、日本の時代劇界に不朽の金字塔を打ち立てました。

しかし、座頭市を演じたのは勝新太郎だけではありません。時代とともに「座頭市」というキャラクターはリメイクや再解釈を経て、さまざまな俳優により新たな息吹を吹き込まれてきました。今回は、勝新以外が主演を務めた座頭市映画を中心にご紹介し、それぞれの作品が持つ魅力や特徴を掘り下げていきたいと思います。

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座頭市リメイクの歴史

勝新太郎が最後に市を演じたのは1989年の『座頭市』(監督:勝新太郎)でした。その後、しばらく市の姿はスクリーンから姿を消しますが、21世紀に入って再び注目されるようになります。背景には、日本映画界の新たな時代への模索、そして古典キャラクターの現代的解釈を求める動きがありました。

それでは、勝新以外が主演を務めた主な座頭市映画を年代順に見ていきましょう。

『座頭市』(2003年)主演:ビートたけし

最も有名な勝新以外の「座頭市」映画といえば、ビートたけし(北野武)監督・主演による2003年のリメイクでしょう。金髪に染めた市のビジュアルが公開された際には賛否が巻き起こりましたが、結果的には国内外で高く評価され、ヴェネツィア国際映画祭では監督賞を受賞するなど、大成功を収めました。

作品の特徴

たけし版『座頭市』は、原作の設定を踏襲しながらも、映像美と暴力描写のコントラスト、そしてダンスやリズムに重きを置いた斬新な演出が特徴です。劇中の殺陣もスピーディーでスタイリッシュ。さらに、最後のタップダンスによる群舞は、それまでの時代劇にはなかった大胆な演出として話題を呼びました。

たけし版市の魅力

ビートたけし演じる市は、セリフを最小限に抑え、無駄な感情表現を削ぎ落とした静かな佇まいが印象的。勝新の市が“情と義”を重んじる粋な男だったのに対し、たけし版市はよりミステリアスで孤高な存在として描かれています。

『ICHI』(2008年)主演:綾瀬はるか

2008年にはなんと女性が「座頭市」を演じるという大胆なアプローチの作品『ICHI』が公開されました。主演は綾瀬はるか。市の設定を女性に置き換えたスピンオフ的な作品で、座頭市というキャラクターの「精神性」を別の形で表現した意欲作です。

ストーリーと設定

映画『ICHI』予告

物語は、盲目の女旅芸人「市」が、過去を捨てて旅を続ける中で出会った浪人(演:大沢たかお)や村人たちとの関わりを通して、自らの運命と向き合う姿を描いています。戦う理由も、市の剣技も、どこか哀しみを帯びており、従来の座頭市シリーズとは異なる“静の美学”が漂います。

女性版座頭市の評価

賛否は分かれましたが、綾瀬はるかの繊細な演技と、アクションにおける迫力のギャップが話題に。視覚障害を持つキャラクターとしてのリアリティもしっかりと描写されており、「新しい座頭市像」として一定の評価を得ました。

『座頭市 THE LAST』(2010年)主演:香取慎吾

2010年には元SMAPの香取慎吾を主演に迎えた『座頭市 THE LAST』が公開されました。キャッチコピーは「これは、最後の“市”だ」。文字通り、これまでの座頭市シリーズに“決着”をつける作品として製作されました。

物語と演出

戦いから離れ、静かに生きようとする市。しかし、再び運命に引き戻されていくというストーリーで、人間ドラマに重点が置かれています。香取の市は、従来の剣豪的なイメージよりも「人間としての市」に焦点が当てられており、苦悩や葛藤の描写が丁寧です。

評価と意義

興行的には苦戦したものの、座頭市というキャラクターに対する新たな解釈を試みた点では意義のある作品。アクションよりもドラマ性を求める観客にとっては、見応えのある作品となっています。

なぜ「市」は生まれ変わり続けるのか?

これらの作品を通して見えてくるのは、「座頭市」というキャラクターが日本人の心のどこかに深く根ざしている存在であるということです。盲目でありながらも圧倒的な強さを持ち、弱き者に寄り添う姿は、時代が変わっても共感され続ける“ヒーロー像”です。

同時に、「市」は演じる俳優の個性を色濃く反映させるキャラクターでもあります。たけしの無口で冷徹な市、綾瀬はるかの哀しみを背負った女性市、香取慎吾の人間味あふれる市——それぞれの俳優が、自らの表現で“市”という記号に魂を吹き込んできたのです。

おわりに

「座頭市」という物語は、勝新太郎という稀代の俳優によって作り上げられたレガシーです。しかし、その後継たちは決して模倣にとどまらず、各々が独自の解釈で“新しい市”を生み出してきました。

映画の形は変われども、「正義とは何か」「弱者を守るとはどういうことか」という普遍的なテーマが、座頭市という存在を時代を超えて生かし続けているのです。次なる“市”は、どんな姿で我々の前に現れるのでしょうか。

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