こんにちは、映画ファンの皆さん!今日は、2007年に公開された妻夫木聡主演の実写映画「どろろ」についてたっぷりと語りたいと思います。この映画は、手塚治虫の傑作漫画「どろろ」を原作に、日本映画界を代表する俳優陣と豪華な製作陣が集結して作り上げた一大ファンタジーアクション作品です。公開から18年近く経った今でも、その独特の世界観やキャストの熱演が語り継がれる本作。さあ、一緒にその魅力を紐解いていきましょう!
映画「どろろ」の概要
「どろろ」は、2007年1月27日に東宝配給で公開された日本映画です。原作は、手塚治虫が1967年から1968年にかけて「週刊少年サンデー」で連載した同名漫画。漫画は未完に終わりながらも、その独創的なストーリーとキャラクターで多くのファンを魅了しました。この実写映画は、原作の持つダークファンタジーの要素を継承しつつ、現代的な映像技術とアクションで再構築した作品として注目されました。
監督は「黄泉がえり」や「カナリア」で知られる塩田明彦。脚本は塩田監督とNAKA雅MURAが共同で担当し、製作費約20億円を投じた大作として話題に。主演は妻夫木聡と柴咲コウが務め、他にも瑛太、中井貴一、原田芳雄といった実力派俳優が脇を固めています。撮影は日本国内とニュージーランドで行われ、特にニュージーランドの広大なロケ地が映画の異世界感を際立たせました。
映画は興行的にも成功を収め、観客動員数は約300万人、興行収入は約39億円を記録。さらには続編「2」「3」の製作が発表されるほどの人気ぶりでしたが、残念ながらその後の続編は実現していません。それでも、第7回日本映画テレビ技術協会映像技術賞でVFX・劇映画部門を受賞するなど、その映像美と技術力が高く評価されました。
ストーリー:百鬼丸とどろろの絆と冒険
映画の舞台は、原作の室町時代から戦国時代という設定ではなく、時空を超えた架空の異世界。そこでは、戦乱が続き、人々は魔物に怯える日々を送っています。物語の中心は、体の48カ所を魔物に奪われた青年・百鬼丸(妻夫木聡)と、彼と旅を共にするコソ泥の少女・どろろ(柴咲コウ)の冒険です。
百鬼丸は、天下統一を夢見た武将・醍醐景光(中井貴一)が魔物と契約を結んだ結果、生まれたばかりの自分の子(百鬼丸)の体を48体の魔物に差し出したことで、異形の姿で生まれます。しかし、医師・寿海(原田芳雄)の秘術によって義肢を与えられ、成長した百鬼丸は魔物を倒すことで自分の体を取り戻す旅に出ます。一方、どろろは両親を戦乱で失い、男装して生き抜いてきた孤児。ある日、百鬼丸の妖刀に興味を持ったどろろは彼に付きまとい、やがて二人は絆を深めながら共に旅を続けることになります。
映画では、百鬼丸が魔物を倒すたびに体の一部が再生する様子が描かれ、そのたびに彼の人間性が少しずつ戻ってくる過程が感動的です。特に印象的なのは、どろろとの関係性が深まるにつれて、孤独だった百鬼丸が心を開いていくシーン。終盤では、百鬼丸の出生の秘密や醍醐景光との因縁が明らかになり、壮大なクライマックスへと突き進みます。
原作と異なる点として、どろろが子供ではなく成人女性として描かれていることが挙げられます。これにより、百鬼丸との関係はバディ感が強調されつつも、どこか兄妹のような温かさを感じさせるものに。また、現代的なアイテムが異世界に紛れ込むなど、ジャパニーズ・ファンタジーとしての独自性が際立っています。
豪華キャストとその演技
この映画の大きな魅力の一つは、豪華キャストの熱演です。まず、百鬼丸を演じた妻夫木聡。彼は二枚目俳優としてのイメージを覆し、義肢に覆われた不気味さと内面の葛藤を見事に表現しました。インタビューで妻夫木は、「百鬼丸は悲しみや愛を忘れずに持っているキャラクター」と語っており、その繊細な演技がスクリーンからも伝わってきます。特に魔物との戦闘シーンでは、ワイヤーアクションを駆使した迫力ある動きが印象的です。
対するどろろ役の柴咲コウは、原作の少年っぽさを残しつつ、女性らしい強さと優しさを加えたキャラクターに仕上げました。男装姿での軽快な動きや、百鬼丸との掛け合いでのユーモアは、彼女の演技力の高さを物語っています。柴咲自身、「どろろと百鬼丸の縁は言葉で表せない空気のようなもの」と述べており、二人の関係性を自然に演じきったことが映画の成功に大きく寄与しています。
脇を固める俳優陣も見逃せません。醍醐景光役の中井貴一は冷酷な武将を見事に演じ、物語に深みを与えました。百鬼丸の養父・寿海役の原田芳雄は、渋い存在感で観客の心をつかみ、どろろの母・お自夜役の麻生久美子は短い出演ながら強い印象を残しています。さらに、百鬼丸の弟・多宝丸役の瑛太や琵琶法師役の中村嘉葎雄など、個性豊かなキャストが物語を彩りました。
製作背景:ニュージーランドロケとVFXの力
「どろろ」の製作には、映画史に残るほどのこだわりが詰まっています。当初はモンゴルでの撮影が予定されていましたが、極寒の気候を考慮し、ニュージーランドに変更。広大なオープンセットを組み、荒涼とした大地が映画の異世界感を見事に演出しました。撮影期間は日本ロケ、スタジオ撮影、ニュージーランドロケがそれぞれ全体の3分の1を占め、特にニュージーランドではスタッフが最大4カ月半滞在するなど、大規模なプロジェクトとなりました。
映像面では、VFXが大きな役割を果たしています。魔物のデザインや戦闘シーンのCGは、当時の日本映画としては非常に高いクオリティ。百鬼丸の体が再生する場面や、魔物とのダイナミックなアクションは、観客に強いインパクトを与えました。この技術力が評価され、前述の映像技術賞を受賞するに至ったのです。
音楽も映画の雰囲気を引き立てる重要な要素。オリジナル・サウンドトラックはトイズファクトリーから発売され、無国籍風の民族音楽が異世界の雰囲気を強調しています。妻夫木と柴咲、そして瑛太がかつて共演したドラマ「オレンジデイズ」で主題歌を担当したMr.Childrenとの縁も、ファンには嬉しいポイントだったかもしれません。
評価と影響:賛否両論の中での成功
公開当時、「どろろ」は観客や批評家から賛否両論の評価を受けました。原作ファンからは、どろろが子供ではなく成人女性として描かれたことや、時代設定が大きく変更された点に違和感を覚える声も。しかし、映画としてのエンターテインメント性やキャストの演技力は高く評価され、興行的成功を収めたことで「日本でもエンターテインメントが成立する」とプロデューサーの平野隆が胸を張ったほどです。
個人的には、この映画の魅力は原作をそのまま再現するのではなく、新たな解釈を加えた大胆さにあります。確かに原作の持つ哀愁や哲学的な深さは薄れたかもしれませんが、その分アクションと人間ドラマが前面に出て、幅広い観客に訴えかける作品に仕上がっています。特に百鬼丸とどろろの絆が丁寧に描かれている点は、原作の精神を継承しつつも映画ならではの感動を与えてくれました。
「どろろ」の魅力と現代へのメッセージ
さて、この映画の最大の魅力は何でしょうか?それは、孤独な二人が旅を通じて絆を築き、過酷な運命に立ち向かう姿にあると思います。百鬼丸の「体を取り戻す」という目的は、単なる復讐を超えて、自分自身の存在意義を見出す旅でもあります。一方、どろろの明るさと逞しさは、どんな困難にも負けない人間の強さを象徴しているようです。
現代社会においても、私たちは時に孤独や喪失感に苛まれることがあります。そんな時、「どろろ」は仲間と共に困難を乗り越えることの大切さを教えてくれる作品と言えるでしょう。また、異世界という設定を通じて、現実とは異なる視点から人間性を描くことで、普遍的なテーマを浮かび上がらせています。
まとめ:今こそ見直したい名作
妻夫木聡主演の実写映画「どろろ」は、手塚治虫の原作を大胆にアレンジしつつ、日本映画らしい情緒とハリウッド的なスケールを融合させた傑作です。豪華キャスト、圧巻の映像、感動的なストーリーが織りなす2時間18分は、観る者を異世界へと誘い、深い余韻を残します。続編が実現しなかったのは残念ですが、それでも単体として十分に楽しめる作品です。
もし未見の方がいれば、ぜひこの機会に「どろろ」をチェックしてみてください。妻夫木聡と柴咲コウの熱演、ニュージーランドの壮大な風景、そして魔物との戦いの興奮があなたを待っています。そして、見終わった後に感じる「絆」の温かさが、きっと心に残ることでしょう。それでは、素敵な映画ライフを!
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