2025年11月、Netflixにてギレルモ・デル・トロ監督の最新作『フランケンシュタイン』が独占配信されました。デル・トロ監督が「生涯の夢」と長年語り続けてきたプロジェクトがついに完成したのです。『シェイプ・オブ・ウォーター』や『パンズ・ラビリンス』でアカデミー賞を多数受賞した彼が、メアリー・シェリーの古典小説をどのように映像化したのか――結論から申し上げますと、これは単なるホラー映画ではありません。怪物と人間の境界を深く問いかける、美しくも切ない悲劇です。
あらすじ(ネタバレなし)
舞台は19世紀のヨーロッパです。天才科学者ヴィクター・フランケンシュタイン(オスカー・アイザック)は、死を克服する究極の方法を追い求めています。母親の死をきっかけに、彼は死体を縫い合わせて“完璧な生命”を生み出す禁断の実験に没頭します。雷鳴の轟く嵐の夜、ついに“それ”は目を覚まします。
しかし、生まれたクリーチャー(ジェイコブ・エロルディ)はヴィクターが想像した“完璧な人間”ではありませんでした。醜く巨大で、言葉もろくに話せない存在です。拒絶され孤独に苛まれたクリーチャーは、次第に怒りと悲しみを募らせていきます。創造主と被造物、二人の運命は破滅へと突き進んでいきます。
デル・トロ版の最大の特徴は、原作に極めて忠実であることです。ヴィクターの視点だけでなく、クリーチャー自身の語りも丁寧に描かれています。北極圏の船上から始まる枠物語構造もそのまま再現されています。原作ファンの方なら、「ここまで忠実にやってくださったのか!」と感動されることでしょう。
見どころ5選
- ジェイコブ・エロルディのクリーチャーが圧巻です
これまでのフランケンシュタイン映画ではクリーチャーが「ただの怪物」として扱われることが多かったですが、エロルディの演技は別次元です。言葉を覚えていく過程、初めて花を見たときの純粋な喜び、人間に裏切られたときの絶望――すべてが痛いほど伝わってきます。デル・トロ監督が「怪物はいつも被害者だ」とおっしゃる通り、その言葉を体現しています。 - オスカー・アイザックのヴィクターが深みのある人物です
アイザックは従来の冷徹なマッドサイエンティスト像を覆しています。母親の死に囚われたトラウマ、創造主としての責任とエゴの間で揺れる人間臭さが素晴らしいです。 - 圧倒的なゴシック美学と実物セットです
CGを極力抑え、巨大な実物セットを構築しています。雪に覆われた墓地、血と臓器が散乱する実験室――すべてが「詩的でマカブル(美しくも死を思わせる)」な世界観です。撮影監督ダン・ローストセンと美術チームの仕事が素晴らしく、アレクサンドル・デプラの荘厳な音楽も完璧です。 - ミア・ゴスさんとクリストフ・ヴァルツさんの怪演です
ミア・ゴスは重要な女性役を一人二役で熱演されています。ヴァルツさんは狂気と哀愁を併せ持つ役どころで、脇役陣も豪華です(チャールズ・ダンス、デヴィッド・ブラッドリーなど)。 - テーマの深さ――“怪物とは誰か?”です
デル・トロ作品の真骨頂である「怪物は社会の鏡」です。クリーチャーが受ける差別と暴力は、現代の移民問題やマイノリティの苦しみと重なります。観終わったあと涙が止まらなくなる方が続出しています。
最後に
ギレルモ・デル・トロ監督の『フランケンシュタイン』は、怪物映画の歴史に新たな金字塔を打ち立てました。クリーチャーの瞳に映る世界をご覧になれば、きっと「本当の怪物は人間の方だ」と感じられるはずです。Netflixでぜひご覧ください。そして過去の名作も合わせて、フランケンシュタインの世界にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。





コメント