2024年に韓国で公開され、観客動員数1200万人を超える大ヒットを記録したオカルト・サスペンススリラー『破墓／パミョ』（原題：파묘、英題：Exhuma）。日本でも2024年10月18日から劇場公開され、2025年4月18日よりAmazon Prime Videoで配信開始となった本作は、豪華キャストと緻密なストーリー展開で世界中から注目を集めています。本記事では、映画の内容、主演キム・ゴウンの演技力、日本語セリフの印象、そして見どころを詳細に掘り下げ、徹底解説します。ネタバレを避けつつ、物語の魅力と文化的背景も交えてお届けします。
1. 『破墓／パミョ』の内容：墓に隠された恐ろしい秘密
あらすじ
『破墓／パミョ』は、韓国の伝統的なシャーマニズム（巫俗）と風水をテーマにしたオカルト・ミステリー映画です。物語は、米国ロサンゼルスに住む裕福な韓国人一家から依頼を受けた若き巫堂（ムーダン＝朝鮮半島のシャーマン）イ・ファリム（キム・ゴウン）とその弟子ユン・ボンギル（イ・ドヒョン）が中心となって展開します。一家の跡継ぎが代々謎の病に悩まされており、特に新生児が異常な症状を示していることから、ファリムは原因が先祖の墓にあると断定。韓国に戻り、墓の改葬（墓を別の場所に移すこと）を進めるため、ベテラン風水師キム・サンドク（チェ・ミンシク）と葬儀師コ・ヨングン（ユ・ヘジン）を招集します。
しかし、墓を掘り起こす「破墓」の儀式を始めた途端、不可解な現象が一行を襲います。墓には想像を絶する恐ろしい秘密が隠されており、ファリムたちは超自然的な力と対峙することに。物語は、韓国の民間信仰や歴史的背景を織り交ぜながら、緊張感あふれるサスペンスとホラー要素で観客を引き込みます。
テーマと文化的背景
本作の大きな特徴は、韓国独自の文化である巫堂、風水、陰陽五行思想が物語の基盤となっている点です。巫堂は、韓国のシャーマニズムにおける重要な役割を担い、厄祓いや占い、病気の治療などを行います。劇中では、ファリムがトランス状態で激しい舞を踊りながらお祓いを行うシーンが特に印象的で、韓国の伝統的な「グッ（お祓い）」の儀式がリアルに描かれています。
また、風水師サンドクが墓の位置や土地のエネルギーを分析する場面は、韓国社会に根付く「良い土地に墓を設ける」ことの重要性を反映しています。中国文化圏では、墓の位置が一族の繁栄や運命に影響を与えるとされ、墓を掘り起こす行為自体がタブーとされる場合も。本作はこのタブーを破ることで生じる恐怖を巧みに描き、観客に文化的背景への理解を促します。
さらに、物語の後半では、朝鮮半島と日本の歴史的関係が浮かび上がります。豊臣秀吉の朝鮮出兵や日本による韓国併合の記憶が、霊的な怨念として物語に影響を与える要素として登場。これにより、単なるホラー映画を超えた深いテーマ性が加わり、韓国での大ヒットの背景にもなったと考えられます。
2. キム・ゴウンの演技：カリスマ巫堂としての圧倒的魅力
キム・ゴウンのキャリアと役柄
キム・ゴウンは、2012年の映画『ウンギョ 青い蜜』で鮮烈なデビューを飾り、青龍映画賞など多数の新人賞を受賞。その後、ドラマ『トッケビ ～君がくれた愛しい日々～』（2016）でコン・ユの花嫁役を演じ、一躍スターとなりました。『ユミの細胞たち』（2021-2022）や『シスターズ』（2022）など、多様なジャンルで活躍する彼女ですが、『破墓／パミョ』ではこれまでにない挑戦的な役柄に挑んでいます。
ファリムは、若くして卓越した霊力を持つ巫堂であり、冷静かつ毅然としたリーダーシップを発揮する一方、超自然的な存在と対峙する中で人間的な脆さも見せる複雑なキャラクターです。キム・ゴウンはこの役を演じるにあたり、巫堂の儀式やシャーマニズムについて深く研究し、実際に巫堂の動きや声を再現するために訓練を積んだとインタビューで語っています。
演技のハイライト
キム・ゴウンの演技の最大の見どころは、お祓いのシーンでの圧倒的な表現力です。ファリムがトランス状態に入り、刃物を手に血まみれになりながら舞う姿は、観客に強烈なインパクトを与えます。このシーンでは、彼女の身体的な表現力と感情の爆発が融合し、まるで本物の巫堂が憑依したかのような迫真の演技を見せています。レビューでは、『哭声／コクソン』（2016）のファン・ジョンミンに匹敵するほどのエネルギッシュなパフォーマンスと評されるほどです。
また、ファリムがチームを率いるリーダーとしての冷静さと、恐怖に直面した際の人間らしい動揺をバランスよく演じ分けた点も高く評価されています。チェ・ミンシクやユ・ヘジンといったベテラン俳優との共演シーンでは、若手ながら対等に渡り合う存在感を発揮。師匠と弟子の関係にあるボンギル（イ・ドヒョン）との軽妙な掛け合いも、緊張感の強いストーリーに温かみを加えています。
キム・ゴウンのコメント
キム・ゴウンはインタビューで、本作の出演を決めた理由について、「チャン・ジェヒョン監督への信頼」と「脚本の斬新さ」を挙げています。彼女は特に、4人のキャラクターが互いに専門性を活かして協力するダイナミズムに魅了されたと語り、撮影現場での俳優同士の化学反応が作品の魅力を高めたと振り返っています。
3. 日本語セリフ：キム・ゴウンの流暢な発音とその効果
日本語セリフの登場シーン
『破墓／パミョ』では、物語の冒頭でキム・ゴウン演じるファリムが米国ロサンゼルスの韓国人一家と対話するシーンで日本語セリフが登場します。この場面では、ファリムが依頼主とコミュニケーションを取るために日本語を使用し、その流暢な発音が観客を驚かせました。Xの投稿でも、「キム・ゴウンの日本語が上手くてびっくりした」との声が上がっており、彼女の語学力の高さが話題に。
日本語セリフの効果
キム・ゴウンの日本語セリフは、物語の国際的な設定を強調する役割を果たしています。米国に住む韓国人一家との対話を通じて、ファリムのプロフェッショナルな姿勢とグローバルな視野が伝わります。また、日本語の発音が自然であることで、観客はファリムのキャラクターにすぐに感情移入でき、物語の没入感が高まります。
ただし、一部のレビューでは、映画後半で登場する日本の怨霊に関連する日本語セリフについて、「時代劇の監修が不足している」「不自然な日本語が気になった」との指摘も。 これに対し、キム・ゴウンの日本語は丁寧に準備されたものであり、彼女の努力が感じられるとポジティブに評価する声も多いです。
文化的背景と日本語の意義
本作では、日本と韓国の歴史的関係が物語の鍵となるため、日本語の使用は単なる言語の選択以上の意味を持ちます。特に、怨霊が日本の歴史的背景と結びついている点から、日本語セリフは物語のテーマ性を深める装置として機能しています。キム・ゴウンの日本語は、この複雑なテーマを観客に自然に伝える橋渡し役と言えるでしょう。
4. 『破墓／パミョ』の見どころ：豪華キャストと映像美
豪華キャストのアンサンブル
本作の大きな魅力は、キム・ゴウンをはじめとする豪華キャストの競演です。風水師サンドク役のチェ・ミンシクは、『オールド・ボーイ』（2003）で世界的に知られる名優。サンドクの知識豊富でやや頑固なキャラクターを、深い人間味とともに演じています。葬儀師ヨングン役のユ・ヘジンは、『コンフィデンシャル／共助』（2017）で見せたユーモアとシリアスさを融合させ、物語に軽妙なリズムを加えます。イ・ドヒョン演じるボンギルは、全身に経文のタトゥーを刻んだクールな巫堂見習いとして、若々しいエネルギーを注入。
4人のキャラクターはそれぞれ専門性を持ち、互いに信頼し合う対等な関係性が魅力的です。レビューでは、「4人がまるで仕事映画のプロフェッショナルチームのよう」との声もあり、彼らの掛け合いが緊張感を和らげる一方で、物語の推進力となっています。
映像美と演出
チャン・ジェヒョン監督は、『プリースト 悪魔を葬る者』（2015）や『サバハ』（2019）で知られるジャンル映画の鬼才。本作では、暗く不気味な雰囲気の中にも美しい映像美を織り交ぜ、観客の視覚を強く刺激します。特に、墓を掘り起こすシーンの重厚な色彩や、お祓い儀式のダイナミックなカメラワークは圧巻。韓国の山岳地帯や墓地の風景も、物語の不穏なムードを強調しています。
また、音響効果も本作の恐怖を増幅する重要な要素。巫堂の鈴の音や風水師の呪文、怨霊の不気味な囁きが、観客の緊張感を高めます。4DX上映では、これらの効果がさらに体感的に楽しめると話題に。
歴史的テーマと考察の余地
物語後半で浮かび上がる日韓の歴史的背景は、観客に深い考察を促します。日本の怨霊や歴史的事件が物語にどう影響するのか、そのメタファーや象徴性を読み解く楽しみがあります。一方で、一部の日本人観客からは「反日的要素が強い」との感想も。 しかし、監督の意図は単なる対立の強調ではなく、歴史の傷を霊的な物語を通じて癒す試みとも解釈でき、観客の視点によって異なる受け取り方が可能です。
5. なぜ『破墓／パミョ』は観るべきなのか？
韓国映画の進化を感じる
『パラサイト 半地下の家族』（2019）や『新感染 ファイナル・エクスプレス』（2016）を超える興行成績を記録した本作は、韓国映画のさらなる進化を示しています。オカルトホラーというニッチなジャンルでありながら、幅広い観客を引きつけるストーリーテリングとキャストの力が際立っています。
文化的学びの機会
日本人観客にとって、韓国のシャーマニズムや風水の文化は新鮮であり、映画を通じて異なる価値観や伝統に触れることができます。巫堂の儀式や墓の重要性は、日本のお盆や先祖崇拝とも通じる部分があり、比較文化の視点から楽しめます。
エンターテインメントとしての完成度
ホラー、サスペンス、ミステリーの要素が見事に融合した本作は、134分の長編でも飽きさせません。前半の不穏な雰囲気と後半の怒涛の展開は、観客をスクリーンに釘付けに。特に、キム・ゴウンのお祓いシーンやチェ・ミンシクの風水師としての渋い演技は、映画館の大画面で堪能する価値があります。
6. まとめ：『破墓／パミョ』は必見の韓国映画
『破墓／パミョ』は、韓国映画の枠を超えたグローバルな話題作であり、キム・ゴウンをはじめとするキャストの圧倒的な演技、緻密な演出、そして文化的な深みが魅力の作品です。キム・ゴウンの流暢な日本語セリフやトランス状態での迫真の演技は、彼女のキャリアの中でも特に印象的なハイライト。日韓の歴史的テーマは議論を呼ぶものの、物語のエンターテインメント性と考察の余地は観客に多くのものを与えます。
ホラーやサスペンスが好きな方はもちろん、韓国文化や歴史に興味がある方にもおすすめの本作。Amazon Prime Videoで手軽に視聴できる今、ぜひこの恐ろしくも美しい世界に飛び込んでみてください。あなたは、墓の下に隠された「何か」を直視する勇気がありますか？
『破墓／パミョ』はAmazonプライムビデオで`25年4月18日より見放題配信開始
『破墓／パミョ』はAmazonプライムビデオで`25年4月18日より見放題配信開始されました。
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