『バハールの涙』は2018年開催の第71回カンヌ国際映画祭にコンペティションされた作品で、ニュースサイトで取り上げられていたので気になっていた作品です。
ちなみに、この回のカンヌ国際映画祭に日本からは是枝裕和監督作『万引き家族』と濱口竜介監督作『寝ても覚めても』がコンペティションされ、『万引き家族』が見事パルムドール(最高賞)を受賞しています。
日本でも全国劇場公開されていましたが、上映劇場が少なく、観ることができませんでした。WOWOWで2019年12月に放送されたことで、やっと鑑賞することができました。
原題は『Les Filles du Soleil』で、直訳すると『太陽の女たち』となります。
原題通り、ISの兵士たちに悲惨な目に遭わされた女性たちが立ち上がって組織した戦闘部隊を追った作品で、フランス人女性記者の目を通して映し出されるドキュメンタリーのような形でストーリーが展開していきます。
実際にあった事件が元になっている
本作はイラクのクルド人自治区で2014年8月3日から2015年11月13日に起きた出来事に着想を得ています。
その事件とは、ISがイラク北西部のシンジャル山岳地帯に住む少数民族ヤズディ教徒を襲撃。24時間で50万人の市民が脱出したのですが、逃げおくれた人々は殺害されるか、拉致されています。
弁護士だったヒロインがISと戦う戦闘員へ
ヒロインであるバハールはフランスの大学を卒業、イラクのクルド自治区で弁護士でしていましたが、ある日、ISの戦闘員に襲撃され、夫は銃殺、息子はIS戦闘員として教育されるべく連れ去られてしまいます。そして自身も性的な虐待を受けるために隔離されてしまいます。
数か月後、なんとかIS地区から逃げ出せた彼女は、連れ去られた息子を取り戻すために戦闘員として活動を始めるのです。
ISに捕らえらえた女性の悲惨さを伝える
本作はバハールという架空の女性の人生を綴ったフィクションではありますが、実際の事件を元にしており、映像の中に登場する殺害、誘拐、強姦は実際に起こったことです。
目を覆うような残酷なシーンは頻繁に登場しないものの、状況の悲惨さは十分に感じられます。
タイトル『バハールの涙』が伝えるもの
原題は『太陽の女たち』で、タイトルが表すのはISと戦う女性部隊の活躍を表現しているようで、なんか勇ましい作品のように感じられます。
邦題の『バハールの涙』ならバハールという一人の女性の悲しみを表現しているようで、本作の主題に合っているように思います。
本作の中でバハールは数度涙を流します。
夫を殺された時、息子を連れ去られた時、強姦された妹が自殺した時、仲間を銃撃戦で失った時、そしてラストに息子を救い出した時。
主役バハールを演じるのはゴルシフテ・ファラハニ
主役となるバハールを演じるのはゴルシフテ・ファラハニ。
イラン・イスラム共和国の女優で、『エクソダス:神と王』(2014年)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017年)などハリウッド作品にも出演しています。
「世界で最も美しい顔ベスト100」 ランクイン女優
「世界で最も美しい顔ベスト100」にもランクインしており、2013年に77位で初ランクインしたあと、2014年に6位、2015年には5位に選出されています。
本記事はオフィシャルサイトを参考に執筆させていただきました。