ネタバレレビュー:過去の自分と未来の自分が向き合う/タイムパラドックスに真っ向から挑戦した作品『プリデスティネーション』

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タイムトラベルを扱った作品では過去を変えてしまったら、現代にどのような影響を与えてしまうのかが題材にされることが多いですね。

例えば、過去にタイムトラベルをして、自分が生まれる前の親を殺してしまったとき、今ここにいる自分は消えてしまうのか?

1985年に公開されたロバート・ゼメキス監督作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも自分が生まれる前にタイムスリップした主人公マーティ・マクフライがまだ父親と恋仲になる前の母親に惚れられることで、自分の身体が徐々に消えていくという描写がありました。

このようなタイムトラベルによる矛盾や変化のことをタイムパラドックス(時間の逆説)といい、様々なタイムトラベル作品の題材となってきました。

ほとんどの作品では過去へタイムトラベルした際には、現在を変えてしまうような行動はしてはいけないというルールが根底にあって、登場人物たちはできるだけ人と接しないような行動を取ります。特に過去の自分には絶対に接触しないこと。これが鉄則です。

今回紹介する2014年に公開された『プリデスティネーション』はその鉄則を見事に破り、というか、その鉄則に正面から向き合った作品です。

オーストラリアの作品で、原題は『Predestination』。「宿命」「運命」という意味です。

原作は世界SF小説のビッグスリーのひとりロバート・A・ハインラインの短編小説『輪廻の蛇』。ハインラインと言えば、代表作である1956年に発表した『夏への扉』でその名を知っている方も多いかと思います。

イーサン・ホークとサラ・スヌークのダブル主演となる本作。イーサン・ホークが演じるのは時空警察官。サラ・スヌークが演じるのはある男によって自分の人生を狂わされたかつて女性だった男。

ここからは完全ネタバレですので、注意してくださいね。

注意!ネタバレのストーリー

彼は1970年3月にとあるビルで連続爆弾魔フィズル・ボマーが仕掛けた爆弾の処理をしていたが失敗し、顔に大火傷を負ってしまいます。その時、突然現れた何者かにバイオリンケース状の時間移動装置を渡され、遠い未来に飛ぶ。そこで火傷の手当てを受け、まったく別人の顔となった彼は最後の任務として1970年11月に戻り、バーテンダーに変装して標的が来るのを待つ。現れたのが、サラ・スヌーク演じる青年・ジョン。ジョンは1本のボトルを引き換えに面白い話をするようにバーテンダーに促される。ジョンは自らの半生をバーテンダーに語り始めます。

ジョンは元はジェーンという名の女性であり、孤児院で育った彼女は宇宙パイロットを目指し、見事スペースコープ社へ入社。しかし、同期研究生と殴り合いのケンカをしたことで施設を追い出され、その後再起を目標に昼は家政婦として働き、夜にマナースクールに通い始めます。そこである男と運命的な出会いをし、子供を身籠るのですが、男が突然失踪、そして生まれた女児も出産後2週間目で何者かに誘拐されてしまいました。さらに彼女は帝王切開を担当した医師から衝撃的な話をされます。

医師が言うのには彼女は生まれつき両性を持っていたため、出産時に卵巣と子宮を摘出、男性器の再建をしたという。子供を奪われた上、男性として生きなければならなくなってしまったのでした。

ジョンの話に同情したバーテンダーは時空警察官の仕事を引き継ぐことを条件に、ジョンを彼の人生を大きく変えてしまった過去へ連れ戻しました。

1963年4月、運命の出会いをした場所に着いたジョン。男を待ち伏せするジョンの背中にジェーンがぶつかってきました。なんと、ジョンの運命を変えた男の正体は自分自身だったのです。そして、ジョンとジェーンは恋に落ち、激しく愛し合います。

バーテンダーは爆弾魔フィズル・ボマーを始末するために1970年3月に時間移動。爆弾処理をして大火傷をしたジョンを助けます。そのあと、1964年3月に移動し、病院の新生児室にいたジェーンの子供を誘拐し、1945年9月に移動、孤児院の前に置き去ります。そして、1963年6月に再び戻り、ジョンを半ば強制的に未来へ連れて行き、時空警察官としての自分の任務を引き継がせます。

引退するために1975年1月に移動したバーテンダー。そこで時間移動装置は機能停止するはずでした。しかし、時間移動装置が再び起動。フィズル・ボマーの居所を知った彼は抹殺するためにボマーのところへ向かいます。そこには度重なる時間移動により精神を病んで連続爆弾魔となった老いたバーテンダーがいました。

フィズル・ボマーを銃殺したバーテンダー。その腹部には帝王切開で付いた傷が痛々しく残っていました。

『プリデスティネーション』予告編

4人の登場人物がたったひとりの男の成れの果て

バーテンダー、ジョン、ジェーン、フィズル・ボマー、この4人の登場人物はすべて同じ人物であり、ジェーンが産み、孤児院に捨てられていた彼女が手術でジョンとなり、時空警察官となったジョンは爆弾処理で顔に大火傷を負ったあと整形でバーテンダーとなります。そして、バーテンダーは精神を病み爆弾魔フィズル・ボマーになったわけです。

本作に登場するこの4人ひとり人物(表現しづらいですね)は他者から生まれたのではなく、自分自身から生まれたこととなります。タイムパラドックスに真っ向から挑戦した作品ですね。う~ん、でも考えれば考えるほどややこしい。

サラ・スヌークの男装メイクが必見

本作で女性から男性へ性転換した人物を演じたサラ・スヌーク。

ジェーンを演じているときの容姿とジョンを演じているときの容姿がまったく違うのに驚きます。髪を短くし、メイクを抑えた素顔からジェーンの面影が見当たりません。

よく化粧を落とした女性が別人のようだということを聞きますが(申し訳ありません!)、メイクって本当に凄いと改めて思い知らされました。

▼Amazon Prime Videoで鑑賞


プリデスティネーション(字幕版)

お勧め度:(3.5/5)

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