こうの史代原作による戦争悲話「夕凪の街 桜の国」

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終戦記念日ということで、『野火(2015)』、『ビルマの竪琴(1985)』に続いて、『夕凪の街 桜の国』を鑑賞しました。

以前、WOWOWで放送されたものをBD-Rにダビングしておいたままにしていた作品群のうちのひとつです。

原作はこうの史代の漫画作品

漫画家のこうの史代氏の作品は片渕須直監督によって製作された劇場版アニメ『この世界の片隅に』のヒットで世間一般に知られるようになりました。

戦争を庶民の生活を通して描写したことで、戦争の悲惨さがいっそう深く伝わり、多くの共感を得ました。

夕凪の街 桜の国』も『この世界の片隅に』と同様、庶民の生活を通して、戦争の悲惨さを伝えています。

違うのは『夕凪の街 桜の国』が実写版であることです。

広島の原爆がテーマになっている

本作は1945年8月6日に米軍が広島に投下した原爆により、家族を失い、原爆症に苦しみながらも懸命に生き抜く家族を描いています。

2007年7月に劇場公開されています。

ストーリーは2部に分かれていて、1部が『夕凪の街』

原爆投下の13年後の広島の下町を中心にストーリーが展開します。

麻生久美子が演じる主人公が、吉沢悠演じる職場の同僚からの求婚を受けた直後に原爆症で命を落としてしまいます。

川のほとりで、生涯を誓ったフィアンセの姿を眺めながら、静かに倒れていく主人公の姿がとても哀しいです。

「あの日、自分たちの死を望んで広島に原子爆弾を落とした人は、こうしてまた一人殺せたことを喜んでくれているだろうか?」

死にゆく主人公が語るこの言葉が胸に響きました。

淡々と生活を描いていくだけの描写が続きますが、戦争は普通の生活、小さな幸福でさえ無残にも奪っていく。

そんなメッセージが聞こえてくるようでした。

2部目は『桜の国』

『夕凪の街』から50年後を中心にストーリーが展開します。

『夕凪の街』で麻生久美子が演じた主人公の弟の娘、つまり姪っ子が主人公となります。

演じるのは田中麗奈。

母親が被爆していたことで、原爆は彼女にも影を落としています。

舞台は東京郊外から過去を辿るように広島へと移ります。

叔母の50回忌のために広島へ向かった父親(堺正章)を追い、自分のルーツを知ることになりますが、主人公が過去を知るシーンはタイムトラベルのようであり、夢のようでもあり、少し変わった演出がされています。

戦争の悲惨さを伝えるには

原爆に翻弄された一家族の日常を淡々と描写した作品ですが、却ってそれが戦争の恐ろしさをより感じることになりました。

かつて日本の戦争映画といえば、戦場で戦う兵隊の悲惨さを描写する作品が多かったです。

本作や『この世界の片隅に』のように、戦争により当たり前の日常が奪われてしまった庶民の姿を描く方がより悲惨さを伝えることができるのかもしれません。

お勧め度:(3.5/5)

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