かつて時代劇といえば派手な立ち回りのチャンバラが主流でした。
チャンバラ映画は、時代劇の中でも特に剣戟シーンを中心に描かれる作品を指します。チャンバラという言葉は、刀で斬り合う音「ちゃんちゃんばらばら」から来ており、剣劇や剣戟映画とも呼ばれます。
1920年代から1950年代にかけて、日本で多くのチャンバラ映画が制作されました。特に東映京都撮影所が中心となり、華やかな剣戟映画を製作し、日本の興行界で大きな人気を博しました。
しかし、時代が経つにつれ、時代劇はチャンバラよりも、武士や庶民の生活を題材にした人情ドラマが主流となって行きました。
そんな時代劇を取り巻く状況の中、今年に入って、激しい殺陣=チャンバラシーンが入った時代劇が続々公開されてきます。
今回はこれから公開されるチャンバラ時代劇を紹介しましょう。
『シサム』9月13日公開
この映画は、江戸時代初期の北海道(当時の蝦夷地)を舞台に、アイヌ民族と和人(シサム)との交流と対立を描いています。
あらすじ:
松前藩士の息子である孝二郎(寛一郎)は、兄の栄之助(三浦貴大)と共にアイヌとの交易を行っていましたが、兄が使用人の善助(和田正人)に殺されてしまいます。復讐のために蝦夷地へ向かった孝二郎は、アイヌの文化や風習に触れ、自身の人生を見つめ直していくことになります。
キャスト:
- 寛一郎(孝二郎役)
- 三浦貴大(栄之助役)
- 和田正人(善助役)
- 坂東龍汰(アイヌの青年役)
- サヘル・ローズ(アイヌの女性役)
スタッフ:
- 監督:中尾浩之
- 脚本:尾崎将也
- 主題歌:中島みゆき「一期一会」
アイヌと和人の歴史を通じて、異文化理解や共生の重要性を描いていた時代劇ですが、予告編では兄の仇を打つべく、剣を取る主人公の様子や銃を構える松前藩の侍たちの姿が映し出されています。大きな騒乱が予想される予告映像となっています。
『十一人の賊軍』11月1日公開
この映画は、江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わる激動の時代を舞台にしています。
あらすじ:
1868年の戊辰戦争の最中、新発田藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた歴史的事件をもとに、捕らえられていた11人の罪人たちが「決死隊」として砦を守る姿を描いています。彼らは、憎き藩のために命をかけて戦うことを余儀なくされ、その中で葛藤と裏切りが交錯します。
キャスト:
- 山田孝之
- 仲野太賀
- 玉木宏
- 阿部サダヲ
スタッフ:
- 監督:白石和彌
- 脚本:池上純哉
- プロデューサー:紀伊宗之
この映画は、名脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットを基にしており、現代の社会問題ともシンクロするテーマを描いています。
集団抗争時代劇が作られた1960年代に書かれた脚本を元にしているだけあって、かつてのチャンバラ時代劇復活を予見させる作品です。
主演の山田孝之は2010年に公開したリメイク版『十三人の刺客』にも主人公の一人として出演しており、チャンバラ時代劇は経験済みです。彼のふたたびの立ち回りに期待したいです。
『室町無頼』1月17日公開
この映画は、垣根涼介の時代小説を原作とし、室町時代の応仁の乱前夜を舞台にしています。
あらすじ:
1461年、京(京都)は大飢饉と疫病に見舞われ、混沌とした時代を迎えていました。そんな中、蓮田兵衛(大泉洋)は、武士階級として初めて一揆を起こし、腐敗した幕府に立ち向かうことを決意します。彼のもとに集まった「無頼」たちは、巨大な権力に対して暴動を仕掛け、命を懸けた戦いに挑みます。
キャスト:
- 大泉洋(蓮田兵衛役)
- 長尾謙杜(才蔵役)
- 松本若菜(芳王子役)
- 堤真一(骨皮道賢役)
- 柄本明(老師役)
- 北村一輝(名和好臣役)
スタッフ:
- 監督・脚本:入江悠
- 原作:垣根涼介『室町無頼』
この映画は、リアルな中世の暗黒時代を背景に、名もなき人々が腐敗した権力に立ち向かう姿を描いています。
主演の大泉洋は2013年公開の『清須会議』、2015年公開の『駆込み女と駆出し男』などの時代劇主演がありますが、チャンバラとは縁がない役柄でした。
しかし、本作はチャンバラ中心の集団抗争時代劇で、予告映像からも大泉洋の派手な大立ち回りが確認できます。本格的なチャンバラ時代劇となっています。
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