時代劇ファン必見! 武家社会の悲劇をリアルに描いた小林正樹監督2作品『上意討ち 拝領妻始末』『切腹』

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1960年代は、日本の時代劇映画の黄金期ともいえる時代で、この時期には、黒澤明監督、小林正樹監督、工藤栄一監督、五社英雄監督などが多くの名作を生みだし、その中から名優が生まれ、観客を魅了しました。

小林正樹監督は、社会派映画で知られる映画監督ですが、時代劇にも傑作を残しています。小林監督の時代劇は、武家社会の虚飾や武士道の残酷さを鋭く批判し、サムライ精神へのアンチテーゼを込めた作品が多いです。代表作の『切腹』や『上意討ち 拝領妻始末』では、食い詰めた浪人が切腹を申し出て、井伊家の家臣たちに無慈悲な仕打ちを受けるというストーリーが展開されます。小林監督は、残酷な描写や緊迫した演出で、観客に衝撃を与えました。また、武満徹の音楽や戸田重昌の美術など、スタッフの才能も光る作品です。小林監督の時代劇は、日本映画史上に残る名作として高く評価されています。

今回は小林正樹監督の『上意討ち 拝領妻始末』『切腹』の2作品を紹介します。

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『上意討ち 拝領妻始末』

本作は1967年に公開された時代劇映画です。監督は小林正樹、主演は三船敏郎と司葉子です。滝口康彦の小説「拝領妻始末」を原作として、封建制度の非人間的な矛盾に苦しむ会津藩の藩士とその家族の悲劇を描いています。

ベネチア国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞したほか、キネマ旬報の日本映画ベストテンで第一位に選ばれました。

『上意討ち 拝領妻始末』あらすじと見どころ

享保10年(1725年)、会津藩の馬廻り役・笹原伊三郎(三船敏郎)は、長男の与五郎(加藤剛)に嫁を探していました。そんなとき、藩主・松平正容(松村達雄)の側室だったお市の方(司葉子)を与五郎の妻として迎えるようにという藩命が下されます。お市の方は、正容との間に庶子・菊千代を産んだものの、正容が新しい側室に乗り換えたことに怒って暴力をふるい、大奥から追放された女性でした。

伊三郎はこの藩命に反発しますが、与五郎は従うことにします。お市の方はいちと名乗り、笹原家に嫁ぎます。最初は気まずい関係だった二人ですが、次第に愛し合うようになります。姑のすが(大塚道子)からも認められ、やがて娘が生まれます。伊三郎は隠居して家を任せようと考えます。

しかし、その幸せな日々は突然終わりを告げます。江戸からの知らせで、正容の嫡子が急死し、菊千代が新たな世継ぎとなったことが分かります。いちも菊千代の生母として奥に戻ることを求められます。これは理不尽な藩命だと感じた伊三郎と与五郎は拒否しますが、藩からは強圧的な態度で迫られます。いちも与五郎も離れることを拒みますが、いちは城中に監禁されてしまいます。

伊三郎と与五郎は戦いを覚悟します。二人を説得するため、藩の重臣に付き添われたいちが二人の前に現れます。重臣に説得を強要されたいちはふたりの目の前で自ら刃を受け、自害してしまいます。与五郎はいちを抱きかかえている間に槍で突かれて死んでしまいます。

伊三郎は重臣と配下の侍を斬り倒したあと、二人の遺体を庭先に埋め、孫を抱えながら藩の非道を暴くべく江戸へ向かいます。途中待ち伏せていた朋友・浅野帯刀(仲代達矢)を斬り倒した伊三郎ですが、追っ手の侍たちの銃撃に倒れます。

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上意討ち 拝領妻始末

『上意討ち 拝領妻始末』は、三船敏郎の迫力ある演技と小林正樹の巧みな演出が見事にマッチした作品です。特にラストシーンの切り結びは圧巻で、観客を感動と衝撃に包みます。武満徹の音楽も映画の雰囲気を高めています。時代背景や登場人物の心理描写も丁寧で、封建制度下で生きる人々の苦悩や葛藤が伝わってきます。時代劇ファンはもちろん、人間ドラマや愛情物語が好きな方にもおすすめの映画です。

お勧め度:(3.8/5)

『切腹』

1962年に公開された映画「切腹」は、日本映画史に残る名作として高く評価されています。小林正樹監督と橋本忍脚本のコンビが、滝口康彦の小説「異聞浪人記」をもとに、武家社会の虚飾と武士道の残酷性を描き出した衝撃的な作品です。主演は仲代達矢で、当時29歳という若さで老浪人の役を見事に演じました。

『切腹』あらすじと見どころ

物語は、井伊家の屋敷に切腹を申し出る浪人・津雲半四郎(仲代達矢)が、井伊家の家老・斎藤勘解由(三國連太郎)から、先日同じように切腹を申し出た若い浪人・千々岩求女(石濱朗)が竹光で腹を切らされた話を聞かされるところから始まります。半四郎は動じずに切腹の覚悟を示しますが、実は彼には求女と深い関係があり、井伊家に復讐するためにやってきたのでした。

この映画の見どころは、何といっても半四郎が井伊家に対して語る求女の悲惨な運命と、それに伴う自らの決意です。半四郎の言葉は、井伊家の武士たちの心を揺さぶり、彼らの罪と愚かさを暴きます。また、半四郎が介錯人に指名する沢潟彦九郎(丹波哲郎)、矢崎隼人(中谷一郎)、川辺右馬介(青木義朗)との三つの決闘シーンも圧巻です。半四郎の豪剣と彼らの技巧がぶつかり合い、武士道の真価が問われます。

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切腹

映画「切腹」は、1963年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、国際的な評価も得ました。武満徹の音楽や宮島義勇の撮影も素晴らしく、映像美も際立っています。武士として生きることの意味や苦悩を描いた深遠な作品です。

お勧め度:(4.0/5)

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