小泉八雲原作を美しい映像で実写化した1965年作品『怪談』

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1965年に公開された小林正樹監督の映画「怪談」は、日本の伝統的な怪異譚をオムニバス形式で映像化した作品です。小泉八雲の「怪談」に収録された「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」と「骨董」収録の「茶碗の中」の4つの話を選んでいますが、それぞれに独自の解釈やアレンジが加えられています。この記事では、それぞれの話の内容や特徴、背景にある文化や歴史などを紹介します

Kwaidan: As Quatro Faces do Medo (1965)
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『怪談』基本データ

1964年製作/183分/配給:東宝

監督:小林正樹
製作:若槻繁
脚本:水木洋子
原作:小泉八雲
撮影監督:宮島義勇
音楽音響:武満徹
美術:戸田重昌
録音:西崎英雄
色彩技術顧問:碧川道夫
題字:勅使河原蒼風
タイトルデザイン:粟津潔

受賞歴

第18回カンヌ国際映画祭 審査員特別賞
ローマ国際映画祭 監督賞
第38回アカデミー賞 外国語映画賞(ノミネート)
第38回キネマ旬報ベスト・テン 第2位
第20回毎日映画コンクール 撮影賞、美術賞
第19回日本映画技術賞(中村明)

各話の内容

「黒髪」

「黒髪」は、貧しい妻を捨てて良家の娘と再婚した武士が、後悔と呪いに苛まれる話です。原作では武士は京都から都落ちして再婚しますが、映画では遠い任地に赴きます。また、原作では武士は妻を捨てる際に髪を切って置きますが、映画ではその場面はありません。映画では武士が妻と再会するシーンが長く描かれ、妻の愛情と寂しさが強調されます。武士が目覚めると、妻は髑髏となり、その頭から長い黒髪が生えています。この黒髪は妻の執着と怨念の象徴であり、武士を絞め殺します。この話は日本の古典文学によく見られる「物の怪」の一種であり、人間の情念が強すぎると物に宿って仇を討つという考え方に基づいています。

「黒髪」キャスト

妻(第一の妻):新珠三千代
第二の妻:渡辺美佐子
武士:三国連太郎
父:石山健二郎
母:赤木蘭子
乳母:北原文枝
世話人:松本克平
侍女:家田佳子
世話人の妻:月宮於登女
従者:田中謙三
殿様:中野清

「雪女」

「雪女」は、吹雪の中で雪女に出会った男がその後どうなるかを描く話です。原作では男は雪女に命を助けられた代わりに秘密を守ることを誓わされますが、映画では雪女は男に恋をして命を助けます。また、原作では男は雪女と別れた後に別の女性と結婚しますが、映画ではその女性こそ雪女であり、3人の子供をもうけます。しかし、ある日男が雪女との出会いを話してしまうと、雪女は正体を明かして消えてしまいます。この話は日本各地に伝わる雪女伝説に基づいており、雪女は美しく冷たい女性であり、人間と恋に落ちることもあるが、その恋は成就しないという悲劇的な存在です。

「雪女」キャスト

巳之吉:仲代達矢
お雪(雪女):岸惠子
母:望月優子
村の女:菅井きん、千石規子、野村アキ子
船頭:浜田寅彦
茂作:浜村純

「耳無芳一の話」

「耳無芳一の話」は、盲目の琵琶法師・芳一が平家物語を弾き語りすることで平家の怨霊に取り憑かれる話です。原作では芳一は平家物語の一部を弾き語りするだけですが、映画では壇ノ浦の合戦の場面が大々的に再現され、芳一は全編を弾き語ります。また、原作では芳一は耳を失う前に平家の怨霊に出会いますが、映画では耳を失った後に出会います。映画では芳一が琵琶を弾き語るシーンが美しく幻想的に描かれ、平家の悲劇と芳一の運命が重なり合います。この話は平家物語の影響を受けており、平家物語は日本最古の軍記物であり、源平合戦を題材にしています。

「耳無芳一の話」キャスト

耳無芳一:中村賀津雄
甲冑の武士:丹波哲郎
住職:志村喬
源義経:林与一
建礼門院:村松英子
矢作:田中邦衛
平知盛:北村和夫
貴人:中谷一郎
呑海:友竹正則
松造:花沢徳衛
二位:夏川静枝
平教盛:龍岡晋
上﨟:北城真記子
漁師:桑山正一
平経盛:鶴丸睦彦
漁師:谷晃
弁慶:近藤洋介
平宗盛:山本清
山鹿秀遠:小美野欣二
平教経:中村敦雄
源氏の武士:関口銀三
安芸の太郎:宮部昭夫
漁師:永井玄哉
河野通信:内田透
源八広綱:神野光
源氏の武士:福原駿雄
佐藤忠信:阿部希郎
平有盛:八木俊郎
大納言佐の局:阿部百合子
安徳天皇:佐藤ユリ
悪七兵衛景清:佐藤京一
伊勢義盛:相川延夫
平行盛:児玉泰次
平資盛:前田信明
平清宗:柴田光彦
武将:梶春雄
安芸の次郎:義那道夫
安芸の次郎の郎党:田部誠二
女官:成田光子、三倉紀子、長山藍子
貴族の女:中畑道子

「茶碗の中」

「茶碗の中」は、茶碗の中に映った見知らぬ男の顔を飲み込んだ武士がその後どうなるかを描く話です。原作では武士は茶碗の中に映った男の顔と自分の顔が入れ替わってしまうという結末ですが、映画ではその後も続きます。映画では武士は茶碗の中に映った男の顔を持つ者として生きることになり、その男の家族や仲間と関わることになります。しかし、その男は武士と敵対する者であり、武士は自分の正体を隠しながら危険な状況に陥ります。最後に武士は自分の顔を取り戻そうとするが、水瓶の中に映った自分の顔が手招きをしているのを見て恐怖するという結末です。この話は小泉八雲が伝承や民話から着想したオリジナルの作品であり、身分や容姿が変わることで人生が変わるというテーマを扱っています。

「茶碗の中」キャスト

武士関内:中村翫右衛門
作者及びその声:滝沢修
おかみさん:杉村春子
出版元:中村鴈治郎
式部平内:仲谷昇
老爺:宮口精二
平内の家来(松岡文吾):佐藤慶
鈴江(関内の妹):奈良岡朋子
関内の同僚:神山繁
関内の同僚:田崎潤
関内の同僚:織本順吉、小林昭二、青木義朗
平内の家来(土橋久蔵):天本英世
平内の家来(岡村兵六):玉川伊佐男


映画『怪談』は日本の伝統的な怪異譚を現代的な視点で再解釈した作品であり、色彩や音楽、演出などに独自の美学が感じられます。この映画は国内外で高い評価を受け、1965年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。

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