SFXを駆使した寄生エイリアンの恐怖を描く’80年代傑作SF『遊星からの物体X』とVFXで描いた前日譚『ファーストコンタクト』

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寄生エイリアンを描いたSF作品で描かれる人間の身体からエイリアンが出てくるシーン。今はCGで描かれますが、CGがまだ開発されていなかった頃は模型とメイク、撮影による特殊技術で描写されていました。通称SFX(エフ・エス・エックス)と呼ばれている技術です。

数あるSF作品の中でも、1982年に公開されたジョン・カーペンター監督作『遊星からの物体X』の特殊撮影技術は傑出していて、当時話題になりました。

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1951年『遊星よりの物体X』リメイク作品『遊星からの物体X』

本作は米SF作家ジョン・W・キャンベルの1938年の短編SF小説『影が行く』の映画化で、1951年公開の『遊星よりの物体X』をリメイクした作品です。

原題は『The Thing』。直訳すると「物体」。1951年版の方は「The Thing from Another World」で直訳は「遊星よりの物体」。邦題はこちらを参考にしたようで、付加された”X”という文字は未知のものにとりあえずつけられる文字で、本作に登場する未知の宇宙生物を現したものでしょう。

特撮はロブ・ボッティン

本作の特殊撮影を担当したのは、当時22歳のロブ・ボッティン。本作以前では『ザ・フォッグ』(1980年)、『モンスター・パニック』(1980年)、『ハウリング』(1981年)などの特殊撮影を担当し、特に『ハウリング』で人間が狼男に変身するシーンは今までの狼男変身シーンを覆すリアルな描写になっています。しかし、何より彼の名を知らしめたのは本作の特殊撮影です。

舞台は1982年冬の南極、アメリカ南極観測隊第4基地

本作の舞台は公開時と同じ1982年冬の南極、アメリカ南極観測隊第4基地にヘリコプターに追われた一頭のハスキー犬が駆け込んできます。

ヘリコプターの主はノルウェー観測隊のメンバーであり、上空からハスキー犬を銃撃。ヘリコプターから降り立った隊員はアメリカ隊敷地に逃げ込んだハスキー犬を執拗に狙い、その一発がアメリカ隊のメンバーの脚に命中、危険を感じたアメリカ隊体長がノルウェー隊員を射殺します。

ノルウェー観測隊に何か異常事態が発生したと推測したアメリカ南極観測隊メンバーはヘリコプターでノルウェー観測隊基地に向かいますが、ノルウェー観測隊は全滅したようで、建物は焼けて廃墟となっていました。傍らにはガソリンをかけられて焼かれた異形の生物の亡骸が横たわっていました。

夜になって、ハスキー犬にに異変が起こります。頭部が割れ、全身から触手が飛び出し、異形の怪物へと変身。ここからアメリカ南極観測隊第4基地の悪夢が始まるのです。

物体Xの正体

宇宙から宇宙船で飛来した

ノルウェー観測隊が残した記録映像から巨大な宇宙船の存在が明らかに。ここから謎の生命体が宇宙から飛来したものであることがわかります。オープニングクレジットの映像に宇宙船が地球上で炎上墜落したシーンもあり、隊員たちの会話から10万年前から氷漬けになっていたことがわかります。

あらゆる生物に寄生、細胞をコピー、完全に入れ替わる

謎の生命体は生物の細胞を食い尽くし、代わりに細胞のコピーを生成、その生物と入れ換わる特質を持っています。血液1滴でもあれば寄生可能で、殺害するには焼き尽くすしか方法がありません。

寄生した生物の細胞構成を記憶しているようで、過去に寄生した生物の様々な形態に変態することができるようです。寄生した人間以外に犬、触手をもった異形生物などに変態しています。

SFXで描く変態シーン

物体Xが寄生するシーンは模型や着ぐるみ、光学処理を駆使したSFXで描かれ、まず最初に登場するのが、ハスキー犬が変態するシーン。犬の頭部がバナナの皮を剝くように割れ、身体全体から触手がたくさん飛び出てきたかと思ったら、突然カニの脚のようなものが生えてきます。

変態シーンは犬だけではありません。本作の見どころは人間が寄生され、変態していくシーンです。心臓麻痺で危篤状態になった隊員にAEDを処方する場面。突然、胸部が割れ、牙を持った口のような形態に。処方した隊員は腕を飲み込まれ、嚙み千切られてしまいます。開かれた胸部から触手が出たかと思うと、肉の棒が伸び、その先にはコピーされた隊員の頭部が。そして隊員の元の頭部は床に落ちたかと思うと、カニのような脚と目玉が伸びてきて這いまわり始めるのです。このシーンをすべて模型で製作したとは驚きです。

疑心暗鬼を描いた人間の心理描写も見もの

通信機能が麻痺し、孤立した南極基地内で発生した事件。気づかれないように起こるエイリアンの寄生。誰が人間で誰が人間ではないのか?疑心暗鬼になる隊員たちの心理状況を巧みに描いています。

2018年にデジタルリマスター版が劇場公開

『遊星からの物体X』は2018年にデジタルリマスター版が劇場公開されています。

予告編はこちら。

映画『遊星からの物体X』<デジタル・リマスター版>オリジナル予告
映画『遊星からの物体X』<デジタル・リマスター版>オリジナル予告
映画『遊星からの物体X<デジタル・リマスター版>』オフィシャルサイト
南極基地を襲う謎の宇宙生物。映画史に残る侵略者の変態シーンに誰もが唖然とした80年代SFホラーの最高傑作が、36年ぶりにスクリーンに蘇る!ジョン・カーペンター渾身の監督作。カート・ラッセル主演、音楽はエンニオ・モリコーネ。

Amazon PrimeVideoでも配信されています。(2021年1月現在では見放題プランに含まれています)


遊星からの物体X (字幕版)
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2011年に前日譚となる『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が公開

『遊星からの物体X』公開から29年後、前日譚となるノルウェー観測隊で起こった騒動を描いた『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が公開されました。

舞台は同じ1982年冬の南極、前作の3日前の出来事となります。

ノルウェー観測隊が観測中にクレバスの底で宇宙船を発見、近くに氷漬けになったエイリアンを発見するところから物語が始まります。

エイリアンを基地へ運び、ドリルを通して細胞を抽出。しかし、死んだと思われていたエイリアンは氷を破壊して外へ飛び出し、隊員たちを次々に餌食にしていきます。

前作から29年経過し、特撮はVFXへ

前作から29年経ち、映像技術も飛躍的に発達し、本作は模型、着ぐるみ以外にCGも駆使したVFXで製作されています。

エイリアンに寄生された女性隊員の胸部が割れて、するどい牙と触手が出てくるシーンは俳優の顔とCGで描かれたエイリアンをVFX技術で巧みに合成し、リアルに表現しています。

Amazon PrimeVideoでも配信されています。(2021年1月現在では見放題プランに含まれています)


遊星からの物体X ファーストコンタクト(字幕版)
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ラストは前作にちゃんと繋がる

ラストは前作『遊星からの物体X』の冒頭シーンに繋がっていて、エイリアンに寄生されたハスキー犬が基地から脱走し、生き残った隊員がヘリコプターに乗り、追いかけるシーンでエンドロールが流れます。

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