平成ガメラ三部作は、1995年から1999年にかけて公開された日本の特撮映画シリーズで、三部作のタイトルは以下の通りです。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)
『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)
『ガメラ3 邪神覚醒』(1999年)
平成ガメラ三部作は、かつてのシリーズ作品とは異なり、より現代的な視点で制作されています。物語は、神秘的な古代文明や宇宙人といった要素を含みつつも、環境保護や自然災害といった現代社会に直結したテーマが盛り込まれています。
また、平成ガメラ三部作は、特撮技術の進化に伴い、従来の着ぐるみやミニチュアによる撮影に加え、CGを用いた映像表現が多用されたことでも知られています。特に、『ガメラ3 邪神覚醒』では、CGによるガメラの戦闘シーンが多用され、当時の最先端技術を駆使した迫力ある映像が特徴的でした。
平成ガメラ三部作は、特撮ファンだけでなく、広く一般の観客からも高い評価を受け、日本の特撮映画の名作のひとつとして認知されています。
平成ガメラ三部作のみどころ
見どころは、まず主役怪獣であるガメラの進化です。昭和時代のガメラは子供たちの味方というイメージが強かったですが、平成版では人類を守るために戦う守護神として描かれています。その姿もより凶暴で戦闘的なデザインに変化し、プラズマ火球やエルボークローなど新たな武器も登場します。また、甲羅から火炎を噴射して飛行する際には高速回転するようになり、その姿はUFOを思わせます。
次に敵怪獣であるギャオスやレギオンやイリスも見逃せません。これらは生物学的な設定や生態が細かく描かれており、それぞれが異なる特徴や能力を持っているのです。特にイリスは人間と心を通わせることができる不思議な存在であり、最終決戦では人間と怪獣の関係性も問われていきます。
特撮の監督は樋口真嗣
平成ガメラシリーズの本編監督は金子修介、特撮監督は樋口真嗣です。
樋口真嗣は平成ガメラシリーズの特撮監督が出世作となり、2005年『ローレライ』、2006年『日本沈没』、2008年『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』、2012年『のぼうの城』、2015年『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』、2016年『シン・ゴジラ』、2022年『シン・ウルトラマン』と次々に話題作の監督をしています。
それでは平成ガメラシリーズの解説をしていきましょう。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)
1995年の日本が舞台。五島列島や姫神島で孵化したギャオスと海中で環礁のような姿から目覚めたガメラ、それらを発見した人々や自衛隊との戦いを描いています。
昭和ガメラシリーズ第三作目に登場したギャオスが古代に創られた生物兵器として自己進化能力や単為繁殖が可能であり、人間を餌にするという、独自の設定が盛り込まれた姿となって登場しています。
あらすじ
太平洋上で巨大な漂流環礁が発見されます。その環礁は実は古代から眠っていた宇宙の守護神ガメラででした。一方、九州の五島列島・姫神島では、住民が謎の怪鳥ギャオスに襲われて消えてしまいました。
鳥類学者の長峰真弓は、ギャオスの捕獲に協力しますが、政府はギャオスよりもガメラを危険視して排除することを決定します。やがて、ガメラとギャオスは日本各地で激しい空中戦を繰り広げます。果たして、ガメラは人類を救うことができるのでしょうか？そして、ガメラとギャオスの正体とは何なのでしょうか？
みどころ
従来の子供向けのイメージを払拭し、現実的な設定や生物学的な要素を取り入れた大人向けの作品に仕上がっています。特に、特撮監督の樋口真嗣は、ミニチュアや光学合成だけでなく、CGやデジタル合成も駆使して、迫力ある怪獣アクションを演出しました。また、伊原剛志や中山忍などの実力派俳優が出演し、人間ドラマも見応えがあります。
本作は、キネマ旬報ベストテンに怪獣映画として史上初めて選ばれるなど、高い評価を受けました。
2020年11月27日からは、本作の4Kデジタル修復版が期間限定でドルビーシネマで上映されました。
『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)
前作から1年後が舞台。ガメラと新たな敵レギオンの壮絶な戦いを描きます。
あらすじ
北海道で発生した隕石の落下により、地球に侵入した宇宙生命体レギオンが暴れだします。レギオンは植物のような姿をした兵隊と、巨大な女王からなる集合体で、地下を掘り進みながらエネルギーを吸収していきます。レギオンは人類の電波を妨害し、都市を破壊し、さらには大気中の酸素を爆発させて地球を滅ぼそうとします。
そんな中、地球の守護神として復活したガメラがレギオンに立ち向かいます。しかし、レギオンはガメラの火球攻撃に対して強力な防御力を持ち、逆にガメラを傷つけます。ガメラは人類の協力を得て、レギオンの弱点を探りますが、レギオンは次々と進化していきます。果たして、ガメラはレギオンを倒し、地球を救うことができるのでしょうか？
みどころ
『ガメラ2 レギオン襲来』のみどころは、まず怪獣同士の迫力あるアクションシーンです。特撮技術が向上したことで、よりリアルでダイナミックな映像が楽しめます。また、レギオンのデザインや能力も斬新で魅力的です。レギオンは昆虫や植物などの自然界の要素を取り入れたオリジナルの怪獣で、観客を驚かせます。
もう一つのみどころは、人間ドラマです。前作に引き続き登場する少女・浅井亜紀や自衛隊員・佐伯真一郎らのキャラクターが深まります。彼らはガメラと心を通わせたり、レギオンと戦ったりしながら、自分たちの役割や信念を見つめ直します。特に亜紀と真一郎の関係は微妙で感動的です。
『ガメラ2 レギオン襲来』は、怪獣映画のファンはもちろん、人間ドラマやSF要素も楽しめる作品です。圧倒的なスペクタクルと感動的なストーリーが融合した名作です。
『ガメラ3 邪神覚醒』(1999年)
ガメラシリーズの第3作目であり、前作『ガメラ2 レギオン襲来』の続編にあたります。
あらすじ
1996年のレギオンとの戦いから3年後の世界を舞台にしています。ガメラは人類の味方として多くのギャオスを倒してきましたが、その代償として多くの人命や財産を失わせてしまいました。そのことに苦悩する少女・あやなは、ガメラを憎み、復讐を誓います。
一方、ガメラの力に興味を持つ科学者・倉田は、古代文明の遺跡から発見された謎の石板を研究していました。その石板には、邪神と呼ばれる恐ろしい怪獣・イリスの存在が記されていました。イリスはあやなの憎しみに応えて復活し、ガメラと対決することになります。
みどころ
迫力満点の怪獣バトルや、美しい映像美です。特にイリスは、触手やレーザー光線など多彩な能力を持ち、ガメラに苦戦を強いる強敵です。また、人間ドラマも見逃せません。あやなと倉田の関係や、ガメラと人類の関係などが描かれています。最後には、ガメラが人類の運命を賭けてイリスと決着をつける壮絶なシーンが待っています。
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